すべてが計画通りに進めば、ドイツのザールラント州で来年、新しいバッテリー工場の建設が始まる。この工場は欧州の同類の工場の中で最大規模で、中国バッテリーメーカーの陣地になる。この工場のバックにある中国企業・蜂巢能源は、海外で市場シェアを急拡大している。比亜迪や寧徳時代などの中国企業もそうで、政府は各社を同業界の国際的なリーダーにしようとしている。英誌「エコノミスト」が8日、伝えた。
中国企業はかつて、世界的なセンセーションを巻き起こすかに見えた。中国企業は2014年より欧州と米国で、有名ブランドやランドマークタワーなどの資産購入を開始した。買収は2016年にピークを迎え、中国企業の同年の海外におけるM&A取引金額は約2000億ドルにのぼった。米中関係が2018年より悪化すると、中国企業の海外M&Aブームも下火になった。今年の越境M&A取引金額は過去十数年で最低となっている。
センセーションを巻き起こす大規模な取引の欠如は、中国企業のM&Aのブーム終了と解釈されることが多いが、これは事実からかけ離れている。実際には、中国企業はすでにこれまで以上に自制的になっている。彼らはもう、イタリアのサッカークラブやニューヨークの高層ビルの買収に意欲的ではない。中国企業は注目されない小規模なM&Aを展開している。多くの企業は買収ではなく、外国市場の「グリーンフィールド投資」の拡大に専念している。中国企業の昨年の対外直接投資(FDI)は1330億ドルにのぼり、中国は世界最大の対外直接投資国になった。
一部の投資は依然としてM&Aだが、海外で経営し利益を生む再投資が大半だ。これは中国企業が海外で力強く発展し、健全に成長していることを示している。外国企業が80、90年代に急に中国に出現したように、中国のハイエンド製造設備が現在、先進国の市場で姿を現している。
この流れは今後も続く。来年はさらに次の2つの傾向が見られる。まず、中国がハイエンド技術分野の世界シェアの獲得に取り組む。バッテリー生産はその良い例だ。中国企業は2025年に世界のリチウムバッテリー市場を主導するだろう。次に、経営モデルの変化だ。米国やその他の国の監督管理部門は国家安全を理由にファーウェイなどの中国企業に圧力をかけており、中国の監督管理部門も監督管理を強化している。グローバルに事業展開しようとする中国企業は、このような環境において慎重に行動する必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年11月10日