中国の自動車輸出が急増も、長期的視野が必要

中国網日本語版  |  2023-05-19

中国の自動車輸出が急増も、長期的視野が必要。

タグ:自動車 輸出 経済 貿易 モデル 

発信時間:2023-05-19 14:19:46 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文=鐘師 自動車産業アナリスト

 中国汽車工業協会がこのほど発表したデータによると、1−4月の自動車輸出台数は前年同期比89.2%増の137万台で、輸出額は120.3%増の2045億3000万元だった。中国は今年第1四半期に自動車輸出台数で日本を抜き、世界最大の自動車輸出国になった。中国の自動車輸出は喜ばしい好成績を収めた。ところが我々は現在の国際自動車製造業の本質的なロジックを理性的に分析し、産業構造をさらに強化し、長期的な視野を持ち、潜在的なリスクに警戒し、新たな段階に邁進するべきだ。

 実際に、日本やドイツなどの自動車製造業の老舗先進国のグローバル化経営水準は、ほぼ「3.0バージョン」に達している。現在の中国自動車メーカーはまだ輸出中心の「1.0バージョン」だ。主要グローバル自動車メーカーは数十年前に「2.0バージョン」に移行した。これは自動車の現地での生産、現地での組み合わせ、現地での販売、周辺市場への広がりを指す。日本やドイツの自動車メーカーは1950年代にその模索を開始し、半世紀に及ぶグローバル化の歴史を持つ。いわゆるグローバル化「3.0バージョン」は主に、上述した「2.0バージョン」の他にも現地での研究開発・設計、企業組織構造の現地化などを実現しなければならない。経営の質がより高く、現地社会により溶け込み、最大限にニーズを満たし販売を伸ばす。現在の中国メーカーはグローバル化「3.0バージョン」にはまだ遠い。中国の一部の自動車メーカーはこれまで、ドイツ、日本、イタリア、米国などの技術先進国で一部の技術センターを設立したことがあるが、規模は大きくなかった。

 自動車産業が輸出で力を得るのは、グローバル化の見地からは良き選択だが、最適解ではない。輸出は経済・貿易の挑戦をもたらす。これは自動車産業が存在しない、自動車を消費するだけの国ではそれほど大きな問題にならない。しかし先進国、特に自動車製造大国では、中国企業が製品を輸出するだけではいつか現地の産業と衝突し、保護貿易の摩擦を生む。日本と韓国も大規模輸出を行った際にこれに苦しめられた。最終的に現地に根ざした発展戦略が各大手自動車メーカーから重視された。大多数のグローバル自動車メーカーが、大規模輸出モデルが持続不可能で、現地社会との経済的なウィンウィンを実現できないことを認識したからだ。今や多くの先進国が自動車産業の強国であると同時に自動車消費の大市場でもある。これらの先進国の大きな自動車市場に進出ししっかり基礎を固めるためには、輸出という一人勝ちモデルに頼るのではなく、バリューチェーンにおいて現地の産業と利益を共有するべきだ。中国の自動車輸出台数の急増は全体的に見て評価すべき良き現象だが、将来的に市場の「天井」にぶつかり、副作用が徐々に顕著になる。これは老舗グローバル自動車メーカーと新興グローバル自動車メーカーがグローバル化において経験した経験と教訓だ。

 グローバル化経営の発展に近道はない。運頼みで追い越すか、短期間内に稼いで撤退することはできない。これは業界内の共通認識だ。客観的な市場の法則と各国の法規の要求に従い、順を追い現地の経済・文化環境に徐々に浸透し、協力とウィンウィンを実現することで、中国自動車メーカーは初めて真のグローバル自動車メーカーになることができる。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年5月19日

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