「欧州の倉庫は中国の太陽電池モジュールで満杯になっている」米サイト「Quartz」が20日に引用した、エネルギー調査会社「Rystad Energy」の研究結果によると、欧州で買いだめされている中国製太陽電池モジュールの価値は約70億ユーロで、現在の実需を遥かに上回っている。
「Quartz」の報道によると、昨年2月のロシアとウクライナの衝突後、ロシアが欧州への天然ガスの供給をほぼ遮断したことで、欧州のエネルギー安全の脆弱ぶりが露呈した。ロシア産エネルギーへの依存を減らすため、欧州は昨年、記録的な量の太陽電池モジュールを輸入した。EUは今年の年末までに100GWの太陽電池モジュールを買いだめする見込みだ。中国の欧州への太陽電池モジュールの輸出量は今年、前年同月の水準をいずれも上回っており、3月はさらに51%増となった。中国太陽光発電業界協会のデータによると、今年上半期の中国の太陽光発電製品の輸出額の速報値は、前年同期比約13%増の290億ドル超にのぼっている。最大の市場の欧州が約5割を占め、伸び率が40%を超えている。
欧州のグリーンエネルギーの夢は、自身の力だけでは実現が困難だ。ドイツ通信社によると、太陽光エネルギー産業の拡大について、EUの中国への依存度は過去のロシア産天然ガスへの依存度を上回っている。業界関係者は、「欧州の太陽光エネルギー産業の再構築において、中国企業のコスト及び規模の強みが顕著だ」と述べた。欧州の太陽光エネルギー業界のモジュールの生産能力は年間8GW。PwCの分析によると、中国最大の太陽光発電製造メーカーである晶科能源だけでも、現在の太陽電池モジュールの生産能力が年間45GWにのぼっている。しかも欧州企業の生産コストは中国企業の約2倍だ。
太陽電池モジュール自動化生産ライン製造メーカーの金辰股份の祁海坤常務副総裁は、「産業環境、市場環境、技術研究開発、資本投入などの面で中国の太陽光発電産業に匹敵する国はない。米国も巨額の補助金により、海外企業の現地での投資と生産能力の建設を促している」と述べた。
欧州の多くの国が製品調達に躍起になっているが、中国の太陽光発電産業は枕を高くして寝ることはできない。独立系エネルギーシンクタンクの「Ember」は、欧州の今年上半期の太陽光発電量は前年同期比で11%弱増加したと発表。祁氏は、「中国の太陽光発電製品の欧州への輸出は、下半期に変化する可能性が高い。欧州が現在買いだめしている太陽光発電製品が急増し、今後一定期間に渡る消化が必要で、輸出の増加は今後落ち着く見込みだ」と予想した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年7月24日