アフリカでのインフラ整備、現場で働く中国人技術者が実情を語る

中国網日本語版  |  2023-10-27

アフリカでのインフラ整備、現場で働く中国人技術者が実情を語る。

タグ:アフリカ インフラ 技術者 水力発電

発信時間:2023-10-27 14:24:49 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 筆者は中国電建からアフリカに派遣された90年代生まれのエンジニアで、清華大学を卒業し大学院に上がり博士課程を修了した。この2年半で、タンザニア、ザンビア、レソトの水利プロジェクトに従事した。

 全体的に言えば、現地人は水力発電所のようなプロジェクトを歓迎する。水力発電所は物議を醸しにくい住民に利するプロジェクトで、完成後は周辺の農家が受益者になる。鉱業のように利益分配などの問題から反発を受けることはない。また水力発電所の建設では、数千さらには1万人以上の現地人を雇用することになる。

 中国は大型プロジェクトの圧倒的な競争力をつけている。中国の技術は当初西側から学んだものだが、西側はすでに大型プロジェクトの建設能力を失った。例えば米国は1969年に月に上陸したが、今になりまた月に上陸しようとしても難しい。大型プロジェクト分野では現在、中国企業間の競争が激しくなっている。

 西側はよく、いわゆる「債務の罠」を喧伝する。これは徹頭徹尾の根も葉もない捏造された概念で、インフラ整備の現場で働く人ならば誰もがこれを陰謀論だと見抜く。債権者は貸付を提供する場合、期日通りに回収できることを願う。借り手が期日通りに返済できなければ、これは意思決定にミスがあったということだ。返済する能力のない者に貸付を行えば損失を被るのは自分だ。投資超過、もしくは収益が予想に及ばず返済できないといったことは過去にもあった。しかしこれは「債務の罠」とやらではなく、意思決定の問題であり、しかも個別のケースだ。筆者がよく知るアフリカ南東部の諸国では、多くのプロジェクトの財務状況が健全だ。現地政府、関連企業、中国の貸付を行う銀行は事前に専門的かつ詳細な評価、理性的な意思決定を行う。盲目的にプロジェクトに取り掛かるようなことはない。

 筆者は個人的にアフリカの発展の将来性を楽観しているが、これは今年の投資によりある国の経済が来年飛躍するといった、一部の人のような幻想とは異なる。これは経済発展の一般的な法則に合わない。アフリカ南東部の諸国では、多くの国の経済が毎年4-5%の伸び率で徐々に発展しているのを目にしたが、これだけでも十分だ。ザンビアではあるスーパーが国産品コーナーを設置した。そこに並べられたのは食品や家庭用化学製品といった小物や、シンプルな工業製品だった。しかし5年前であればこれらの商品を現地で製造することはできなかった。

 長期的に見ると、水力発電所のようなインフラの直接的な収益はほんの一部分で、より大きな力はシステムに付随する民間企業がそこから利益を得る点に示される。中国がアフリカ及びその他の「一帯一路」共同建設国で行うインフラ整備は、システム導入によりこれらの国が恐ろしい「マルサスの罠」から抜け出し、好循環を実現することを目的としている。社会の資源を分散する個人の手からできるだけ多く集め、社会公共財の建設にできるだけ多く向けられる人が、個人の生活費と生産コストをよりスムーズに減らし、個人の生産性を高め、経済のより良い好循環を形成できる。(筆者=曹豊沢・中国電建アフリカ駐在エンジニア)

「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年10月27日

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