中国の衛星測位システム「北斗」が国内外で広く利用されている。例えば、シェアサイクルを利用する場合、QRコードをスキャンしてロックを解錠すれば、北斗のサポートを受けながら走行でき、クォーツ時計をはめれば、双方向衛星通信機能を利用できるという具合だ。
湖南省株洲市で先月26日に開かれた第2回北斗大規模運用国際サミットでは、北斗を搭載したさまざまな設備や機器が暮らしのあらゆる場面で利活用されていることが明らかとなった。
中国の衛星航法・測位事業は近年、急速かつ安定的な成長を見せている。北斗関連産業の付加価値額は昨年時点で5千億元を上回った。北斗は交通運輸、防災・減災、農業、電力、天然ガスなどの分野で広くサービスを提供しており、社会的にも経済的にも大きな利益を生み出している。
交通運輸分野では、プロセスの監視や高速道路のインフラの安全監視、港湾の高精度監視などで広く活用されている。
今回のサミットの展示エリアでは、家庭用の工具箱に似た小型スーツケースが大きな注目を集めた。中に「北斗及び高精度地図に基づくマルチシーン列車アクティブ防護システム」なるものが内蔵されており、北斗の測位システムによって鉄道輸送時のさまざまな場面で鉄道の運行安全を確保することができる。
鉄道車両大手、中国中車の傘下にある中車株洲電力機車研究開発センターの電気設計士、肖曦氏は「このシステムは、北斗を通じて走行する列車の現在位置や速度を測定する。高精度地図にプリセットされているしきい値と組み合わせて、位置や速度、走行方向などの情報と照合し、運行上のリスクの有無を割り出す」と語った。
従来の信号システムに比べ、この防護システムはコストを大幅に削減でき、測位精度も高い。これまでに、国内22社の鉄道関連設備メーカーに導入され、「事故ゼロ」を3年間維持するなど、技術面から運行安全を確保している。
交通運輸部北斗衛星測位システム応用活動指導グループ弁公室の王松波主任はサミットの席で、現在、中国国内の幹線道路を走行する事業用車両800万台、郵政・宅配車両4万台の全てに北斗が導入されていると明らかにした。農業分野では、農機自動運転システム10万台以上に導入され、利便性を高めるなど、農機と組み合わせることで生産性の向上に大きく貢献している。
中国は、北斗に関する国際協力を積極的に展開し、世界的な普及と利活用を推進。「一帯一路」協力パートナーをはじめとする230余りの国・地域、15億人以上の利用者に測位・高精度サービスを提供している。
ボリビア宇宙庁のハビエル・アレックス・アンドラーデ・ロメオ副長官は、「北斗という言葉は航空宇宙技術の革新・進歩の代名詞となっていると評価。「北斗の技術が世界規模でより大きな影響を及ぼし、あらゆる方面にさらなる恩恵をもたらすことを期待している」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年11月5日