中国初の高温超電導低圧直流ケーブルが20日、江蘇省蘇州市で送電を開始しました。交流超電導ケーブルと比べると、送電ロスが約70%低減されます。直流超電導送電技術の応用は、新型電力システムの建設およびエネルギーのモデルチェンジ・アップグレードに強力な推進力をもたらします。
超伝導素材は、電気抵抗ゼロという特性から、電力業界への応用がトレンドとなっています。現在、中国では超電導ケーブルの応用が模索されていますが、それらはいずれも交流超電導ケーブルモデルプロジェクトです。近年、風力発電、太陽光発電などの新エネルギーが大量に送電網に接続され、またEV電気自動車を代表とする直流負荷の急速な発展に伴い、直流網は新たな研究の方向性となっています。
データによると、交流高温超電導ケーブルの電力損失は3~4%ですが、直流超電導ケーブルの電力損失はわずか1~2%です。中国電工技術学会超電導技術専門委員会委員の古宏偉教授は、「そのため直流超電導ケーブルは交流超電導ケーブルに比べ、送電網の送電ロスがさらに低下する」と紹介しています。
同プロジェクトで使用されるイットリウム系超伝導体(YBCO)第2世代高温超電導テープは国産素材で、超電導ケーブルシステムのコア材料の国産化が可能だということです。構造的には、同ケーブルは中国で初めてプラスとマイナスの同軸方式を採用しており、1本のケーブルが2本に相当して、現在最もコンパクトな構造の超電導ケーブルとなっており、その利点は、電流の流れが逆方向のため、正極と負極から発生する磁場が打ち消し合って完全な磁場自己遮蔽を実現し、外部からの電磁干渉を排除できるとともに、故障状態では、システム内の他の電気機器を保護する電流リミッターとしても機能し、電力システムの信頼性を高めることができることです。(雲、坂下)
「中国国際放送局日本語版」2023年11月26日