ニンニクが中国から大洋を渡り米国に至る。食卓に上がると同時に、米国の政治家によるいわゆる「中国の脅威」のネタにされるとは想像もできないだろう。米共和党のリック・スコット上院議員は米商務省に宛てた書簡で、「共産主義中国のニンニク」が米国の国家安全を脅かしていると称し、調査を求めた。この書簡がメディアに報じられると、その多くの反知性的な内容により「米上院議員」という職業へのイメージがさらに悪化した。またスコット氏のこの書簡は世界的な笑い話になった。
実を言えば米議員のこの低レベルな非難は笑い飛ばせばいい話だが、このような現象がしばしば生じ、露骨な敵意が示されていることが問題だ。ファーウェイやZTE、新疆の綿花、さらには海産物やニンニクといったさまざまな反知性的な言論が米国で大手を振っているが、これは少数の議員の頭に問題があるだけでは決してなく、その置かれている政治環境から黙認を受けている。中国に関することを何から何まで安全問題にする米国内の傾向により、一部の反中政治家に火事場泥棒を働く機会を与えている。
スコット氏が言うニンニクを例としよう。新型コロナウイルスのパンデミックが始まったばかりの2020年に、輸送費の高騰などの原因により中国産ニンニクの対米輸出が減少した。その直接の結果として、米国でニンニクの価格が上がった。米国の過去2年に渡る深刻なインフレにおいて、中国産の割安なニンニクは事実上、米国のニンニク価格高騰を抑えた。一般人は割安なニンニクを購入できた。これを喜ばないのは誰だろうか。それが米国の一般人でないことは明らかだ。農業州であるフロリダ州の上院議員のスコット氏は表面的には馬鹿げた発言をしているが、心の中では早くから都合の良い計算をしていたのだろう。
「中国の脅威」という素材への嗅覚が最も敏感である米主流メディアのほぼすべてが今回沈黙を保っており、少数のメディアがあっさり報じているだけであることに注意が必要だ。これはスコット氏の発言が信用できないことを腹の中で良く分かっていることを十分に説明している。ところが危険もまさにそこにある。議員の反中の主張がどれほどありえず極端であっても、米メディアはせいぜい沈黙を保ち、嘘を暴かないだけで、批判の程をよくわきまえているようだ。沈黙は事実上、「安全の脅威」を旗印とする不公平な競争の放任であり、極端に利己的な集団の「暗黙の了解」だ。これは性質的に見て、信頼できない一通の書簡よりもよほど深刻だ。
そのためスコット氏のこの書簡をただの笑い話にすることはできない。これは少しも面白くないだけでなく、中米関係における非常に重苦しい現実的な問題を反映している。彼ら議員が嘘をついていることは誰もが分かっており、またその嘘が害をなすことを知りながらも、間違った認識が雪だるま式に膨らむのはなぜか。米議会がまさにそのようであり、米国の「多元的文化」の現れとする説もある。しかし中国陰謀論の総本山となった米議会が「米国文化」の足を引っ張っていることは明らかだ。あるいはこれは、米国という国の顔に絶えず泥を塗っていると言える。
ニンニクに戻るが、中国が人糞でニンニクを栽培していると言う説からは、スコット氏らの中国に対する想像がどれほど立ち遅れているかが分かる。中国の輸出ニンニクは輸出ニンニク安全技術栽培規範を厳守しており、使用する肥やしや灌漑水だけでなく、大気品質についても標準があるほどだ。食品安全への正当な懸念であれば、双方は正常かつ透明なルートで解決でき、ニンニクにイデオロギーのレッテルを貼り攻撃する必要はない。食品安全への正当な懸念でなければ、強く非難するほど自分の無知をさらけ出すことになり、米国の反知性に対する世界の懸念を一層深めることになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年12月12日