中国汽車工業協会が整理した税関総署のデータによると、中国の2023年の自動車輸出台数は491万台だった。日本自動車工業会は23年の輸出台数を未公表だが、1-11月が399万台だったことを考えると、中国の同期の441万2000台とは40万台以上の開きがある。これは中国が日本を抜き、世界最大の自動車輸出国になったことを意味する。「経済日報」が伝えた。
しかしこれは自動車輸出強国と同等ではない。一国が自動車輸出強国であるかを考える場合には、その台数だけでなく輸出車に含まれる価値を見るべきだ。また自国の輸出台数だけでなく、自国メーカーの海外拠点での生産・販売台数も計算するべきだ。特に経済グローバル化が逆流に直面し、世界の地政学的な駆け引きが激化する中、我々はこれについてはっきりした認識を保つべきだ。
税関総署の輸出台数は属地主義の原則に基づく統計だ。つまり中国で生産され海外に輸出されたということで、「中国製」の力を示す。これはすべてが中国ブランドではなく、テスラやGMなどの外資系ブランドの製品も含まれる。特にテスラの上海工場で生産されるEVは、中国の輸出台数の中で高い割合を占めている。
輸出額を見ると、中国の自動車輸出額は初めて1000億ドルを突破したが、日本と比べると大差はない。中国の自動車輸出台数が日本を大幅に上回った上での輸出額であることに注意が必要だ。具体的に企業を見ると、伝統的な自主ブランドでも自動車製造の新勢力でも、利益では日本のトヨタのような大手と比べられない。そのため中国ブランド車はバリューチェーンのミドル・ハイエンドへの邁進を急ぐべきだ。
さらに重要なことに、日本とドイツの大半の自動車メーカーは海外で現地化経営を実現し、現地で工場を建設し、現地で生産と販売を行っている。この部分のデータは輸出台数に数えられていない。日本を例とすると、日本国内の2022年の自動車生産台数は784万台、輸出台数は381万3000台で、海外での生産台数は1695万台だった。つまり、本土からの輸出台数と海外拠点における生産台数が、実際には2000万台を超えているということだ。中国は短期間内にこの規模を超えられない。
自動車輸出の初級段階は製品の貿易で、高級段階は現地での工場建設と生産及び販売だ。さらにより高くより広い視野で見れば、これらの海外で生産された製品は現地の消費者の需要を満たし、現地に多くのGDP、税収、雇用を創出する。ブランドの世界的な影響力を高め、保護貿易がもたらす摩擦を効果的に回避できる。
EUは現在、中国製EVに反補助金調査を行っている。表面的には、米国の「インフレ削減法」が直接禁止するのは北米以外の地域で生産されたEVへの税優遇であるが、実際には中国メーカーが米国にEVを販売する能力の弱体化が目的だ。これらの政策と貿易の壁が、中国の今後の自動車輸出に高い不確実性をもたらすことは間違いない。
世界最大の自動車輸出大国になったのは素晴らしいことであり、中国のイノベーションの取り組みと粘り強さへの見返りではあるが、これは決して終点ではなく新たな出発点だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年1月12日