中国の自動車メーカーは現在、驚異的な台頭を遂げている。中国車の成功は実際には恐れるのではなく祝うべきだ。英誌「エコノミスト」が11日、伝えた。
中国の電気自動車(EV)はデザイン性が優れ斬新で、かつ最も重要なことに割安だ。自動車運搬船の不足がその輸出を妨げているほどだ。世界の脱炭素の流れに伴い、この需要はさらに拡大する。中国が世界の自動車市場に占めるシェアは2030年までに現在の倍の3分の1にのぼり、特に欧州では西側諸国から主導権を奪う可能性がある。
富裕国の政策決定者は自国の自動車メーカーを競争のショックから守る誘惑に直面している。ところが中国車を拒否するのは間違いだ。割安でグリーンな自動車の供給が西側にもたらす潜在的な収益は巨大であり、それが引き起こし得る「破壊と危険」が霞んで見えるほどだ。
まず、中国との貿易がどうあれ、自動車市場は覆されるだろう。世界で2022年に販売された自動車のうち16-18%がEVだった。EUは35年までにガソリン車の新車販売を禁止する。企業はEV製造にシフトする際に労働者を留めるが、このモデル転換において労働集約度が下がる。1回目の「チャイナ・ショック」において製造業の労働者が失業したのも技術進歩が理由だったのと同様、現在も根本的な問題が認識されていない。つまりEVが中国製であることではなく、EVへのモデル転換により流れが変わることが問題なのだ。
次に貿易円滑化による利益を考えよう。自動車は人々の最大の支出の一つで、米国の消費の約7%を占めている。割安の自動車は、別のことにお金を回せることを意味する。中国車は割安なだけでなく質もより高く、特にEVのスマート機能についてはなおさらだ。
最後に、環境にとってのメリットを考えよう。人々の排出削減政策への反発に伴い、世界各地の政治家は消費者をグリーンと環境保護に向かわせることが実に困難な任務であることを意識している。欧米のEVは現在、ガソリン車より割高だ。そのため、割安な中国車の導入はネットゼロ・エミッションへの過渡に有利だ。
政策決定者は保護主義の本能を抑え、西側の自動車メーカーが完全に崩壊するという前提がある場合のみ懸念すべきだ。中国自動車メーカーが高い市場シェアを占め、より広範な競争を引き起こしているが、これについては懸念する必要はない。中国が世界の消費者に「補助」を提供し、エネルギーのモデル転換を急ごうとするならば、それへの最良の反応は歓迎だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年1月15日