小林正弘
清華大学法学博士
Genuineways Law Firm パートナー
習近平中共中央総書記(国家主席、中央軍事委員会主席)は5日午後、第14期全国人民代表大会(全人代)第2回会議江蘇省代表団の審議に参加した際、「質の高い発展という最重要課題をしっかりと把握し、現地の状況に応じたやり方で新たな質の生産力を発展させる必要がある。新たな科学技術革命と産業変革を前に、我々はチャンスを捉え、イノベーションを強化し、新興産業を育成し、強大化させ、未来産業を先行的に布陣・振興し、現代的産業システムを整備しなければならない」と強調した。
新たな質の生産力とは科学技術の革新を原動力として、伝統産業のグレードアップ、新興産業の育成と成長、未来産業への布石を目指す中国政府の新たな戦略的概念だ。人工知能やデジタル化等の最新技術を中国各地のあらゆる産業分野および産業チェーンで応用し、枯渇しゆく地球資源の減少と自然環境への負荷を最小限に抑えながら、今までにない革新的な商品またはサービスを生み出し、中国政府の掲げる高水準の発展を実現していく新たな発展モデルといえる。
新たな産業としてナノ素材などの新素材、バイオマスや水素などの新エネルギー、AIロボット等を利用したスマート製造技術などが注目されているが、新たな質の生産力の核となるのはやはり人材育成と創造的環境の確保である。起業や上場のサポートを含めた魅力的な創造空間を提供し、次代を担う若き優秀な人材を全世界から呼び込むことができれば、近い将来に中国発の最新革新技術を活かした商品が続々と世界を席巻する日が到来するだろう。つい最近、中国企業が開発した「空飛ぶ車」が深圳から飛び立ち世界初の「海を越えた都市間50㎞」の移動に成功したように。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年3月6日