中国政府の活動報告で「新たな質の生産力」が2024年十大任務のトップに挙げられたことは、新たな質の生産力の発展を加速させることに対して中国が切迫感を持って重視していることを示した。中国経済は現在、高速成長からハイクオリティな発展という新しい発展段階へと移行しつつある。この大規模なモデル転換の実現は、新しい発展段階に符合する先進的な生産力、つまり新たな質の生産力にかかっている。新たな質の生産力は、経済発展モデルを純粋な量の拡大から質の向上を重視する方へと向かわせる大きな力となり、中国の新しい発展構造の構築に新たな活力を注入する。
生産力をめぐる既存の枠組みにおいて、経済発展は高投入、高消費、高排出のモデルに頼ってきた。このような要素主導と投資主導を中心とする発展方式は、中国が世界の製造業の中心地として急速に台頭することに貢献すると同時に、一連の根深い社会問題と環境問題を引き起こした。一方、新たな質の生産力は、イノベーション主導を核心としながら、発展の原動力の問題を解決することや、協調発展を提唱し、地域間の発展不均衡の問題に対処すること、グリーン発展を堅持し、人間と自然の調和と共生の促進に注力すること、開放的発展を推進し、国内外の市場連携を強化すること、共有発展を実現し、社会の公平と正義を促進することにつながる。新たな質の生産力のこうした核心的な理念は、中国の新しい発展理念と合致するだけでなく、中国の経済・社会発展に新しい構想と方向性を提供する。
地域一体化戦略の深化、新たな質の生産力の発展を経済面で支える
新たな質の生産力の発展は、堅固な経済基盤によって支えられる必要がある。長江デルタ一体化、京津冀(北京・天津・河北)一体化、粤港澳(広東・香港・澳門)大湾区の戦略的枠組みなど地域一体化戦略を利用すると共に、北京、上海、深圳など地域の主導的都市を中心に近隣都市との協力を強化すれば、地域全体の金融資本、科学技術イノベーション、文化・教育資源などの要素が統合される。地域間の融合を促進し、統一的な大市場を構築すれば、科学技術イノベーション、産業イノベーション、生態保護が協調し、開放かつ包摂的で活力に満ちた経済発展環境が形成される。
地域一体化戦略の深化は、各地域で国際的な競争力を有する都市圏の形成を後押しするだけでなく、経済力と科学技術力を全体的に強化し、国際競争力を持つ産業クラスターを形成することで、新たな質の生産力の発展と現代的産業システムの建設に強固な経済基盤を提供する。
ハイレベルな対外開放、新たな質の生産力の発展に有利な条件を創造
中国が新しい発展段階で追求しているハイレベルな開放は、一種の制度的な開放であることは間違いなく、この開放はルール、規制、管理、標準など多くの面におよぶ全方位型のトップダウン設計となっている。こうした開放戦略は、世界のイノベーション成果を中国に呼び込んで根付かせ、世界の先進的で質の高い要素資源が中国に流入するよう誘導することで、新たな質の生産力の発展に有利な条件を生み出し、中国の国際的な競争力と影響力を高めることになる。
中国の経済発展が、低コスト要素の優位性からイノベーション成果、新興産業、ハイエンド人材需要へと変わるにつれ、制度型開放の戦略的意義はますます顕著になった。中国経済は成長を続けており、北京、上海、粤港澳大湾区など複数の都市と地域が世界に発展をもたらすとして有望視されているが、産業チェーン、人材チェーン、資本チェーン、イノベーションチェーンなど多くの面で依然として課題に直面している。
こうした中、制度型開放は徐々にその独特な吸引力を発揮し、国内外からより多くのキー要素とイノベーション成果、特に新たな質の生産力に必要な先進的で質の高い生産要素が中国に集まることを促しており、中国経済のハイクオリティな発展に強力な原動力を与えるだけでなく、世界経済における中国の地位をさらに強固なものとして向上させる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年3月17日