一部の西側メディアは最近、いわゆる「外資の中国離れ」「外資が中国からインドに」などのニュースと評論を発表している。それでは、外資は本当に中国を離れているのか。答えはもちろんノーだ。
ブルームバーグのいわゆる「2023年の外資系企業の対中直接投資」とは実際には外貨収支を指しており、対外直接投資(FDI)ではない。概念さえも混同しており、素人じみている。FDIの統計対象は、当該時期に域外から中国に流入した投資額だ。統計を見るとFDIには前年同期比で確かに一定の減少が見られるが、そこから外資が中国から流出したと結論づけることはできない。実際に中国外貨管理局が発表したデータによると、23年通年の金融口座流入資金は2099億ドルで、うち第4四半期は595億ドルと3年ぶりの高い数値となった。
外資による投資の質と手段に要注目
国連貿易開発会議が今年1月17日に発表した「グローバル投資トレンド観察」によると、2023年の世界のFDI総額は前年比3%増の1兆3700億ドルだった。しかし節税の資金を差し引くと実際の投資総額は減少している。うち対EUのFDIは23%減で、対米は3%減、対中は6%減、対ASEANは16%減、対インドは47%減。FDIの減少は外資離れという西側メディアの素人じみた論理によると、いわゆる「インドが意外にも勝者に」という報道は自己矛盾している。
データによると、先進国による23年の越境M&A額は前年比で2800億ドル減少し、プロジェクト融資は1570億ドル減少した。しかしグリーンフィールド投資額を見ると、米国は2%増、中国は8%増で、ASEANは37%増だった。同じラテンアメリカのブラジルとメキシコは対照的だ。ブラジルへのグリーンフィールド投資は安定を維持したが、プロジェクト融資が40%と大幅に減少し、そのため外資導入総額が22%減少した。メキシコはグリーンフィールド投資が大幅に伸び、外資導入総額の増加を維持した。そのため外資導入水準は総量を見るだけでなく、グリーンフィールド投資にも注目すべきだ。
また、中国の実行ベース外資導入額は24年1−2月に前年同期比で減少したが、これは昨年の基準値が高かったためだ。中国の23年の実行ベース外資導入額は前年比で減少したが、過去3番目の規模となった。ハイテクなどの分野のデータも好転の流れを示している。中国で24年1−2月に新設された外資系企業数は前年同期比34.9%増の7160社で、5年ぶりの高い数値となった。新設されたハイテク企業数は同32.2%増で、投資額は同33.2%増の714億4000万元。ハイテク製造業の外資導入額は同10.1%増の282億7000万元。これらは中国の外資導入及び発展加速の優れた状況を裏付けている。中国が投資の質を持続的に高め、新たな質の生産力の発展を持続的に促進し、質の高い発展に向かい続ける中、外界が中国を適切に評価し外資の状況を判断しようとするならば、その基本指標も時代と共に進むべきだ。総量を見るだけでなく、質と投資の手段にも注目するべきだ。
地政学的緊張、中国は世界の「安心材料」に
世界と比べると、中国の実際のパフォーマンスが依然として好調であることが分かる。世界のFDIの減少には、地政学的緊張と地経学的分断の資金流動への悪影響という主因がある。
数々の圧力があるが、各グローバル企業が依然として中国市場を非常に重視しており、対中投資の大きな流れに根本的な変化が生じていないことは、1年余りに渡る成績によってしっかり示されている。アップル、エヌビディア、エクソン・モービル、シーメンスは続々と、中国企業との科学研究や製造などの協力を拡大するか、協力を持続的に掘り下げている。米コンサルティング会社のカーニーがこのほど発表した、2024年海外直接投資信頼度指数(FDICI)によると、中国の順位は昨年の7位から3位に浮上し、新興市場ランキングで首位となった。マッキンゼー中国エリア主席の倪以理氏は、中国はすでにかけがえのない市場になったと述べた。
世界の政治・経済リスクが拡大する中、中国経済が外資への高い魅力を保っているのはなぜか。
(一)中国は全世界で発展の最も大きな潜在力を持つ市場だ。中国の経済規模は世界2位で、成長率が4−5%で安定しても、各国の投資家に非常に大きな収益をもたらすことができる。また中国は新たな質の生産力の発展に取り組んでおり、デジタル経済の規模が世界2位になっている。米国及び欧州諸国から数々の規制を受けているが、AI、新エネ、設備製造などの分野の発展の勢いは依然として力強い。これは低成長の時代に入った世界経済の大環境においてひときわ目立っている。世銀は、2021−25年は過去30年で世界経済の成長が最もスローな5年になると予想した。資本は利益を求める。新しい市場とチャンスを求め続ける限り、必然的に中国の存在を無視できなくなる。
(二)中国市場の重要性は総量だけでなく、世界のサプライチェーンとの効果的な結合において示されている。多くのグローバル企業が中国で研究開発センター、生産拠点、マーケティングセンターを設立しているが、これは中国市場向けであるだけでなくグローバルサプライチェーンの一環としてだ。例えばドイツ医薬品及び電子製品大手のメルクの、北京の研究開発センターと上海の生命科学実験室と蘇州の新材料研究開発センターは、いずれもそのグローバル研究開発センターでもあり、グローバル事業を支えている。中国は全世界で唯一、国連の国際標準産業分類の全ての工業分類を擁する国で、製造業の付加価値額で世界の約3割を占めている。そのため中国を選ぶことは、グローバル企業がその世界市場での競争力を維持するための重要な選択であり、低く見積もってもこの流れは長く続くと見られる。
一部の西側メディアは選択的に目をつぶっているが、これはプロとしてのイメージを捨て、中国の発展の成果と勢いを中傷するだけに過ぎない。どれほど誇張されても中国の困難は克服される。どれほど貶められても中国の発展の成果は豊富だ。中国が引き続き世界の共同の発展に重要な貢献を成し遂げ、いわゆる「予言」など一笑に付する値打ちもないことは、歴史が必ず証明するだろう。(筆者=何偉文・中国国際貿易学会常務理事)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年4月26日