香港市場経由で中国本土へ流入する投資資金「北向き資金」の純流入額は、年初から今月10日までで790億元を超え、昨年通年の水準を大きく上回った。海外機関投資家の多くはこのところ中国市場に強気姿勢を取っており、香港株式市場は回復基調で推移、アジア太平洋市場のパフォーマンスは好調だ。適格外国機関投資家(QFII)の資格申請に意欲的な海外機関も増加している。いずれもグローバル資金が中国資産の投資価値を見直していることを示しており、一部の「スマートマネー(金融市場を動かす機関投資家の巨額資金)」はすでに行動を起こしていると見られる。
多くの海外機関投資家は、グローバル資金はよりコストパフォーマンスの高い資産を積極的に探しており、割安のまま放置されている中国資産は無視できない存在と見ていると指摘。中国経済は回復基調にあり、資産評価が十分に調整されているほか、コストパフォーマンスに優れ、かつ関連部門が引き続き中国資本市場の開放を促進していることから、グローバルファンドにとって中国本土A株や香港株の魅力はさらに高まるだろう。
香港株式市場は4月下旬から上昇が続いており、過去3週間の上昇率は世界の株式市場でトップクラスと、目を引くパフォーマンスの高さであることは注目に値する。同市場はこれまで、グローバル資金が中国資産に投資する重要ルートとして機能してきた。中国の証券大手、海通証券などの分析によると、グローバル資金の還流と市場に追い風となる政策が最近の香港の株高の主な理由だと分析している。
なぜ中国資産に人気が戻っているのか?多くの海外機関投資家は、中国経済のファンダメンタルズが引き続き改善していることや、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ期待の高まり、中国の資産評価の優位性などが、中国資産の魅力を高めていると見ている。
中国の経済成長の確実性が、グローバル資金の中国資産に投資する自信の源となっている。成長安定化政策が強化され、効果を発揮するにつれ、中国経済のファンダメンタルズは改善が続き、A株をはじめ中国資産に対する世界の投資家ら信頼が再び高まっている。
仏金融大手BNPパリバは最新の調査報告書の中で、経済成長支援と改革推進に取り組む中国の決意を過小評価することはできないと言及。総合的に勘案すると、MSCI中国指数の見通しは基本シナリオから強気シナリオに引き上げられるだろうとの見方を示した。
FRBによる利下げ期待が再燃したことで米国債利回りが低下したことや、スイス国立銀行などがサプライズ利下げを行ったことも、グローバル資金による再配分を加速させており、中国など新興国市場への海外資金の還流拡大が見込まれる。中国の国有銀行大手、中国銀行傘下の中銀国際証券は、米ドル流動性の規制緩和は、これまで過小評価されていた新興国資産に引き続き恩恵をもたらすだろうと分析している。
中国資産の際立った魅力もグローバル資金を惹きつける大きな要因の一つとなっている。米国やノルウェーの海外機関投資家の多くは、A株の評価向上の可能性は十分に高まってきており、より優れたファンダメンタルズを持つ一部の企業は非常に魅力的だと直言した。
米大手金融ゴールドマン・サックスは最新報告書の中で、中国の資本市場システムが改善するにつれ、同株式市場にはさらに多くの価値が生み出される可能性があり、評価額が約20%上昇する可能性があると指摘。より楽観的なシナリオの場合、40%の上昇が見込めるとしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年5月19日