中国の謝鋒駐米大使はこのほどハーバード大学を訪問した際、「中国の生産能力過剰説」に反論し、「問題は生産能力の過剰ではなく、過度の焦りや苛立ちにある」との見解を示した。
謝峰氏はハーバード大学での講演で、「気候変動対策については世界が一体となって取り組むことが必要だ。国際的な観点から見ると、グリーン生産能力は過剰ではなく、深刻に不足している。気候変動対策について声高に主張する一方でグリーン貿易に障壁を設けることは、自国の低炭素化コストを増大させ、世界のクリーンエネルギー開発のペースを遅らせるだけだ」と指摘した。
謝峰氏は質問に対して、「『一帯一路』建設は質の高い生産能力が過剰ではないうえ、より多くの有効な需要をもたらし、経済成長を促進できることを証明している」と述べた。そしてインドネシアのジャカルタ・バンドン高速鉄道の建設を例に挙げ、「建設当初は旅客需要低迷を懸念する声もあったが、完成後は需要も旺盛でチケット入手が難しくなったうえ、沿線地域の高速鉄道経済の発展を牽引し、インフラの『ハードの連結』を促進したほか、人々の『心の連結』も後押しした」と語った。
謝峰氏はまた、「中国と米国の間には確かに競争がある。中国人は競争を恐れていないが、競争は公平かつ公正でなければならない。米国が今やっているのは、競争ではなくいじめだ」としたうえで、「例えば、米国は国内法に基づいて中国企業を制裁リストに加え、競争が始まる前に中国の参加資格を剥奪した。このほか、米国が他国に対して半導体のフォトリソグラフィ装置など設備・技術の対中禁輸を強く働きかけているのは、陸上競技で自分は先進的なランニングシューズを履いているにもかかわらず、他人には草鞋や裸足で走ることしか許さないようなものだ。それでも中国選手の能力は高く、『新三様』(新御三家)のように裸足でも先頭を走り始めた中国勢もいる。そして彼らは米国から『能力過剰』や『生産能力過剰』と批判され、他の選手に脅威を与えるとして競争からの撤退を迫られているが、全く不公平だと言わざるを得ない」と述べた。
謝峰氏はさらに、「競争が中米関係のすべてではない。両国は多くの分野で協力しており、中国は競争で中米関係全体を定義することに反対している。もし中米関係が競争に支配されることを許すなら、それは共倒れや多くの不利益という戦略的リスクをもたらすだけだ。競争という旗印のもとに中国を抑圧し、包囲し、封じ込める一方で、競争をコントロールし直接的な衝突を避けるべきと主張することは、他者を欺き自らをも欺くことになる。中米が衝突しない最低限のラインをゴールとするなら、両国は衝突から遠ざかることはない。これは危険な崖っぷちで高速レースをしているようなもので、自分では運転が上手いと思っても、少しの油断で崖から落ちてしまう。いくらガードレールを増やしても、何の役にも立たない」としている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年6月6日