アップルは米国時間9日、秋の製品発表会を開く。慣例によると、新型のiPhone 16とiPhone 16 Proシリーズが発表され、各大産業チェーンも準備期間に入る。例年と異なる今年の大きな変化は、中国とインドの工場が共に最新のiPhoneを組み立てることだ。またこれまで主に中国で生産されてきたProシリーズも初めてインドで生産される。これは業界から広く注目を集めた。
ところが「メイド・イン・インド」は近年、市場で不評が相次いでいる。英紙「フィナンシャル・タイムズ」はこのほど、あるインド企業が経営するiPhone部品工場では、部品2点のうち富士康の組立工場に送れる完璧なものは1点のみと伝えた。この50%の「合格率」は、アップルが長期的に守ってきた「ゼロ欠陥」という生産基準と大きく異なる。ある動画配信者がSNSでアップした分解動画も、インドで組み立てられたiPhoneに多くの問題があることを示した(基盤に指紋があり、カメラ内に塵があるなど)。
「南華早報」は、「アップルはサプライチェーンの多元化に取り組んでおり、かつ地政学的リスクを受けアジアのその他の地方に生産をシフトしているが、中国は依然として同社の主な製造拠点だ。アップルが4月に更新したサプライヤーリストを見ると、同社は前年度に中国大陸部でサプライヤーを8社増やすと同時に、4社減らした。アップルの中国における新規サプライヤー数が減少数を上回るのは2021年以降で初。この変化はアップルのグローバルサプライチェーン戦略の微調整を反映しており、また世界の製造業及びサプライチェーン管理における中国の重要な力をさらに浮き彫りにした」と伝えた。
復旦大学南アジア研究センターの林民旺研究員は2日、「環球時報」に対して、「アップルがインド市場に注力するのは、単純な市場の選択ではなく地政学的な考慮からだ。iPhoneを購入できるインドの富裕層の数は中国の消費者ほど多くないが、無視できない市場だ。またインドで産業チェーンを構築することで、アップルはサプライチェーン全体のコストを削減し、中国のサプライヤーとの交渉で有利になれる。そのため一部の挑戦に直面しているが、アップルは依然としてインド市場の潜在力に期待し、現地での投資を続けている。しかし製造業では、インドは中国と比べ限界がある。インドの人件費は割安だろうが、インドの物流コストは中国の数倍だ。労働力の技能の熟練度や全体的な機能の効率も中国ほど高くない」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年9月3日