EU加盟国は先ほど、反対5票・棄権12票・賛成10票の投票結果により、欧州委員会から提出された中国製電気自動車(EV)への補助金相殺案を承認した。中国を原産国とするEVに相殺関税を課す予定だ。この投票結果は課税問題をめぐるEU内部の大きな食い違いを反映した。また加盟国の食い違いを無視し保護貿易を進めるEUへの社会各界の強い不満を引き起こした。
欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は昨年9月、年に一度の一般演説で、中国製EVへの反補助金調査を実施すると発表した。問題はこの調査が産業からの申請ではなく、欧州委員会が直接発動したことにある。この一方的な経済・貿易ツールを勝手に用い中国製EVのEUでの発展を阻止し、そのランニングコストを吊り上げようとするやり方には、事実と法律の基礎がまったくない。世界貿易機関(WTO)ルールに明らかに違反しており、典型的な貿易救済の名を借りた保護貿易だ。
事前に立場を決めてから各部分を調査するというEU側のやり方はいずれも、自ら約束する「客観的、公正、非差別、透明」の原則に背き、その結論も自ずと「公平、フェア、合理的」とはならない。EUは今回、中国製EVによるEU自動車メーカーへの実質的な損害は認められなかったと認めたが、いわゆる「リスク」があったと弁解した。これは実際には雲をつかむような話だ。存在が疑わしい「リスク」のみに基づき保護貿易政策を濫用し、WTOルールを基礎とする多国間貿易体制を損ねるならば、EUが一貫して提唱してきた自由貿易の原則とは何だったのか。
今回の補助金相殺案の発表後、多くのEU加盟国及び企業が公然と反対意見を出した。ハンガリーのオルバーン首相は、「ハンガリーはEUの追加関税措置に反対する。これはEU自身の競争力を落とす」と述べた。メルセデス・ベンツは、「欧州委員会が予定している反補助金関税は間違いで、深刻な悪い結果をもたらす恐れがある」と表明した。BMWは、「EUの中国製EVへの追加関税はまったく通用しない。欧州自動車メーカーの競争力を高めず、むしろグローバルに事業展開する企業に損害をもたらす可能性がある。追加関税はさらに欧州の消費者への自動車供給を制限し、欧州の交通業界の低炭素な発展を遅らせる」との見方を示した。
投票後も、EU側が問題解決に向け協議を続ける意向を示したことに注意が必要だ。内外の理性的な声を受け、EU側が中国側と向き合い歩み寄り、共に協議することで双方が受け入れられる解決案で早急に合意に至ることを願う。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年10月11日