今年を振り返ると、外部からのプレッシャーが強まり内部の問題が増える複雑で厳しい情勢を受け、財政、金融、雇用、産業、監督管理などの政策が持続的に力を発揮し、共に経済の好転と回復を促した。特に9月以降の追加政策パッケージは正確に力を入れ、社会の期待感をしっかり高めた。強化、イノベーション、協同という3つのキーワードは、今年の政策調整の特徴と主軸を浮き彫りにする。
・キーワードその一 「強化」
経済回復及び好転を持続的に促し、財政・金融政策を持続的に強化し、従来の政策と新規の政策の相乗効果を強化する。「強化」は今年の政策調整の最も鮮明な特徴の一つだ。
積極的な財政政策の質が上がり、効果が拡大した。赤字額を今年4兆元以上にした。地方政府特別債の新規発行枠を過去最大規模の3兆9000億元とした。国家重大戦略の実施と重点分野の安全能力の建設(「両重」)と、大規模な設備更新及び消費財買い替え(「両新」)政策の実施に用いる、1兆元分の超長期特別国債を発行した。12兆元の地方債務解消の各種措置を早急に実施した。これら財政政策の各種政策ツールが共に力を発揮し、経済の質の高い発展を支える。
金融政策の調整の強度が上がった。今年に入り、1年物LPR(最優遇貸出金利)が3.45%から3.10%に、5年物以上LPRが4.20%から3.60%に下がり、下げ幅が過去最大となった。中国人民銀行は年内に2回に渡り預金準備率を計1ポイント引き下げ、約2兆元の長期流動性を放出した。公開市場操作や中期貸出制度などのツールを総合的に用い、流動性の合理的な充足を保った。金融政策が持続的に強化され、預金準備率と金利がスムーズかつ大幅に下がった。
内需拡大を見据え、「両新」政策も持続的に強化され、範囲が拡大した。うち消費財買い替え補助政策は2回打ち出された。2回目は補助の範囲が広がり金額も上がり、より多くの実益を消費者に直接届けた。消費市場への刺激効果が顕著だった。
商務部のデータによると、今月19日24時現在の全国の自動車廃棄・購入台数は270万台弱で、買い替え台数は310万台以上。3330万人以上の消費者が5210万台以上の家電買い換え関連商品を購入。インテリア・キッチン・バスルームのリフォーム補助製品は5300万点以上で、電動自転車の買い替えは100万台以上。
中国民生銀行の温彬チーフエコノミストは、「中国の政策調整は今年に入り、内外の環境の変化に伴い徐々に強化された。特に9月下旬以降は追加政策パッケージが相次いで打ち出され、市場の期待感をしっかり高め、経済安定及び回復の基礎を固めた」と述べた。
・キーワードその二 「イノベーション」
政策ツールの「イノベーション」は、今年の政策調整の顕著な特徴の一つだ。これは特に金融ツールのイノベーションに示されている。
自社株買い・追加取得向け再貸付制度を創設し、証券会社、ファンド会社、保険会社のスワップ制度を打ち出した。人民銀行は9月に関連部門と共同で、2つの新たな金融政策ツールの創設を発表し、資本市場の安定的な動きを守るとした。
中国人民銀行の潘功勝総裁は金融街フォーラム年次総会2024で、「この2つのツールは中央銀行による金融安定維持の職能の拡張と新たな模索を示した」と述べた。ツールのイノベーションによる奨励及び促進効果がすでに顕在化している。Windのデータによると、今年に入り今月26日までに計218社のA株企業が自社株買い・追加取得向け貸付に関する公告を発表している。23年は146社だった。
また中央銀行が創設した一連の構造性金融政策ツールが大きな力を発揮し、より多くの金融の活水の正確な注入を導いている。中国人民銀行は今年4月、5000億元規模の科学技術イノベーション及び技術改良再貸付制度を発表した。11月15日までに1737の企業及びプロジェクトが銀行と科学技術イノベーション及び技術改良貸付契約を結んでおり、契約額は4000億元弱にのぼっている。中国人民銀行は6月、3000億元規模の保障性住宅再貸付制度を発表し、地方国有企業が合理的な価格で完成済みだが未販売の分譲住宅を保障性住宅にすることを支援するとした。このほど10以上の都市が不動産プロジェクトを取得し、1万戸以上の保障性住宅を集めている。
不動産市場の安定的で健全な発展の促進について、不動産融資協調メカニズムのイノベーションは「正確な施策」に現れている。このメカニズムは従来の金融機関と不動産デベロッパーが直接結びつき融資を行うのとは異なり、不動産会社への支援でグループを主体とせず、具体的なプロジェクトを対象とする。都市協調メカニズムの構築後、規定を遵守し建設中の「ホワイトリスト」プロジェクトが融資サポートを受け、完成と交付のペースが上がっている。11月末現在で、全国のホワイトリストプロジェクト貸付審査・承認金額は3兆6000億元にのぼっている。金融監督管理総局は、24年末には4兆元を超えると予想した。
・キーワードその三 「協同」
政策「協同」の特徴が今年より顕著になったことに注意が必要だ。各種政策は協同・連動を強化し、最大の力を集め経済安定と回復を促した。
金融政策と財政政策の連動がさらに強まり、マクロ調整により多くの力強いツールを提供した。中国人民銀行と財政部は10月に国債売買に関する共同作業グループを立ち上げ、金融政策と財政政策の協調・連動メカニズムのより明確かつ積極的なシグナルを市場に向け発信した。中央銀行はアウトライト・リバースレポを発表し、公開市場操作において国債売買を徐々に増やすなど、流動性を正確に調節しながら大量の債券発行に向けより適した流動性環境を構築した。
多くの政策が需給の両側から共に力を入れ、不動産市場の下げ止まりと安定化を促した。供給側では、在庫解消政策の実施が加速した。中央銀行は3000億元規模の保障性住宅再貸付制度を作り、特別債券による既存の遊休土地回収の詳細な規則を明確にした。需要側では「4つの引き下げ」と「4つの廃止」により、住宅購入のハードルとコストを効果的に下げた。最新データを見ると、不動産市場に積極的な変化が見られ、下げ止まりと安定化の流れが徐々に顕著になっている。70の大・中都市のうち、11月に新築分譲住宅の販売価格が前月比で上昇した都市が前月より10増加した。中古住宅の販売価格が前月比で上昇した都市は前月より2増加。
他にも、産業、雇用、科学技術、生態などの政策が同じ方向に力を出し、経済政策と非経済政策が力を合わせた。例えば新たな質の生産力の成長と発展に焦点を絞り、産業助成の面で、第1期製造業新型技術改良試行都市リストと第2期中小企業DX化試行都市リストが発表された。人材支援の面で、先進製造業雇用促進行動が実施された。資金サポートの面で、構造的な減税及び費用削減政策が科学技術イノベーション及び製造業発展の支援に重点的に焦点を絞り、新たな専精特新支援政策が始まった。
国務院発展研究センターマクロ経済研究部の張立群研究員は、「マクロ経済の動きは複雑かつ巨大なシステムだ。財政、金融、産業、雇用などの各方面の政策は、システム的なつながりから共に力を入れることで、初めて政策の機能をより良く発揮できる。政策の注力は協同を重視すると、より大きな力を形成し逆周期調節を強化できる。これは同時に経済構造のモデル転換及び高度化を長期的に促す上でも有利だ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年12月31日