米国の株価が最近、激しく変動している。米国債は資産のリスク回避としての力を発揮せず、むしろ異例の投げ売りが生じている。9日付英紙「フィナンシャル・タイムズ」によると、10年物米国債利回りは今週水曜日に一時4.51%に上がり、30年物は一時5%を上回った。今週前半であれば10年物は3.9%未満だった。この動きは世界各地の政府借入コストを同時に拡大した。英国と日本の国債利回りも大幅に上がった。専門家は、米政府の二転三転する関税措置が米ドル及び米政府の世界的な信用を消耗し、伝統的に安全な資産であった米国債がもはや安全ではなくなったとのシグナルを発信したと見ている。「環球時報」が伝えた。
米国債利回りの急上昇は、米国株急落のタイミングで生じた。米メディアの報道によると、市場で株が投げ売りされた後は通常、リスク回避資産に移る動きが生じる。ところが現在の状況は正反対で、投資家は米国債を購入しないどころか信じられないペースで投げ売りを開始している。これにより米国債の需要が減り、利回りが上がり続けている。米Bespoke Investment Groupグローバルマクロ戦略家のジョージ・ペアークス氏は、「米政府が相互関税の導入を発表すると、米国債の需要が大幅に減った。わずか2日で30年物の利回りが1982年以降の株価大暴落時ぶりの上昇率を記録した」と述べた。
「Yahoo!ファイナンス」は、「市場が不確実な時期に、債券市場は投資家から避難先とされることが多い。ところが今やウォール街は、国際貿易構造の変化が米国自身の景気後退を生むと懸念している。最大の懸念の一つは不況インフレだ。一連の失望的なデータと、米政府の二転三転する貿易及びその他の政策の不確実性により、不況インフレのリスクがウォール街の予測においてより注目されている」と伝えた。
マクロ経済専門家、北京師範大学教授の万喆氏は「環球時報」に対して、「米国債は最近、極めて異常な動きを見せている。米国株が暴落する中での米国債の投げ売りは異例で、2020年3月の米国債危機が再来し、システマティックリスクを引き起こすと連想しやすい。これはウォール街がインフレよりも米国の景気後退リスクの方を恐れていることを示すものだ。第2次トランプ政権は発足したばかりで関税問題により米国の国としての信用を何度も消耗しており、米ドルの信用も必然的に損なわれる。米ドルの覇権という枠組み内での国際金融体制もしくは発展の流れが徐々に瓦解し、効果を失っていることが分かる」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年4月11日
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