中国科学院計算技術研究所プロセッサチップ全国重点実験室はこのほどソフトウェア研究所と共同で、人工知能(AI)技術を基盤とした世界初のプロセッサチップ向けハードウェア・ソフトウェア一体型の自動設計システム「啓蒙」を発表した。このシステムは、チップハードウェアから基盤ソフトウェアまでの全工程を自動設計可能で、複数の重要性能指標において専門家による手作業の設計水準に達している。これは、中国がAIによるチップ自動設計の分野で堅実な一歩を踏み出したことを示している。
AI、クラウドコンピューティング、エッジコンピューティングなどの新興技術の発展に伴い、専用プロセッサチップの設計及び関連する基盤ソフトウェア最適化のニーズが増加している。しかし中国におけるプロセッサチップ分野の従事者数は深刻な不足に陥っており、日々拡大するチップ設計の需要に対応しきれていない。
こうした課題に対応するため誕生したのが「啓蒙」システムだ。同システムは大規模言語モデルなどの先進的なAI技術を活用し、CPUの自動設計を実現。さらに、チップに適したオペレーティングシステム(OS)、トランスパイラ、高性能演算子ライブラリなどの基盤ソフトウェアを自動的に組み込むことができ、その性能は人間の専門家による手作業の設計水準に匹敵する。
この研究は、現在のプロセッサチップのハードウェア・ソフトウェア設計のパラダイムを変えることが可能だ。チップ設計プロセスにおける人的関与の削減、設計効率の向上、設計期間の短縮が期待されるだけでなく、特定の応用シーンのニーズに応じた迅速なカスタム設計も実現でき、ますます多様化するチップ設計の需要に柔軟に対応できると見られる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年6月11日
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