国際エネルギー機関(IEA)はこのほど発表した報告書で、地政学的圧力と世界経済見通しの不確実性が増す中、国際石油市場は構造変化を経験しており、過去15年間の需給拡大の主要原動力が弱まり始め、今後数年間は世界の石油供給増が需要増を大幅に上回ると指摘した。
報告書は2024年から2030年にかけ、世界の原油需要が1日当たり250万バレル増加する一方、原油生産能力は1日当たり500万バレル以上増加すると予測。2030年には世界の原油需要が1日約1億550万バレル、生産能力が1日1億1470万バレルに達する。さらに2030年の世界原油需要は前年比小幅減となり、2020年以降続く増加傾向が終息するとみている。
この現象の背景として、同報告書は低迷する経済成長、世界的な貿易緊張、財政の不均衡、石油代替エネルギーの発展などを挙げた。加えて、現在の地政学的紛争激化や政策変更などが、世界石油市場に新たな不確実性をもたらしている。イスラエルとイランの対立はエネルギー安全保障への懸念を特に引き起こしている。
IEAのファティ・ビロル事務局長は、「基本的要因から見れば、今後数年の石油市場供給は充足を維持と見込まれるが、最近の出来事は石油供給安全保障が直面する重大な地政学的リスクを浮き彫りにした」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年6月20日
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