文＝小林正弘

清華大学法学博士　

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6月24日から26日まで第16回夏季ダボス会議が「新時代の企業家精神」をテーマに天津にて開催され、90余りの国と地域から各界の代表1700人余りが出席した。その開幕式にて、李強首相はグローバル経済が不確実性を増す中、中国経済と世界経済の関係について次のように述べた。「長年にわたり、中国の世界経済成長への貢献率は30%前後を維持し、世界経済の重要なエンジンとなってきた。その要因は中国経済の安定性と高成長性のみらなず、開放性および国際経済との連動性によるものだ。中国経済の着実な成長の継続は、世界経済の回復を加速させる強力な支えとなる。（中略）中国においてイノベーションがブレイクスルーと飛躍を続けることは、世界の発展が原動力不足から脱却するための新たな活力をもたらすだろう」。

フォーラムで示されたデータによると、現在中国全国には3万社以上のスマート工場が建設され、主要な製造業の80%をカバーしている。また企業の生産効率は平均22.3%向上し、製品開発期間は28.4%短縮された。そして、生成AIの世界的な創薬研究への応用は新薬開発の周期を40%短縮し、この効率革命がバイオ医薬品業界のグローバルな競争シェアを書き換えようとしているという。

今、まさに中国ではAIと各種産業との融合を通じて生産効率と品質の向上を目指す「AI＋」政策によって、中国市場は世界経済に活力をもたらす産業イノベーションの揺籃へと成長している。そして、誰でも無料でダウンロードし、利用・改変できるオープンな中国大規模言語モデル「DeepSeek（ディープシーク）」は企業がAIを使用するハードルを大幅に下げ、積極的な導入を可能にしている。

このような状況から、海外企業も中国市場およびグローバル市場で生き残るために、高い技術力をもつ中国企業と提携し、商品やサービスの共同開発を行う重要性が一層増している。最近では6月12日に広汽トヨタ自動車が、中国先端技術企業のファーウェイ（華為）、シャオミ（小米）、モメンタと提携し、スマートドライビングの新たなエコシステム再構築に取り組むことが発表されている。他方で、国際的な業務提携にトラブルはつきものであるが、中国各地の裁判所では知的財産に関する国際紛争解決の「優先地」となるべく様々な取り組みがなされているだけでなく、5月30日には香港に世界初となる調停を通じて国際紛争を解決する国際調停院が設立された。今後、国際調停院は国際商事紛争の迅速かつ公平な解決、ひいては公正なビジネス環境の構築に重要な作用を発揮することになるだろう。

中国が他国の民衆の犠牲の上に自国の安全と繁栄を追い求める弱肉強食の競争とは一線を画し、引き続き安定した経済成長によって世界経済を牽引し、開放的で公平・公正な市場構築を維持し、不確実性を増す世界経済の安定剤となることを切に期待したい。

「中国網日本語版（チャイナネット）」2025年6月30日