2026年FIFAワールドカップ(米国、カナダ、メキシコの共同開催)が開催中だ。史上初めて48チームへと出場枠が拡大された今大会は、商業収入とスタジアム観客数の双方で過去最高記録を塗り替えた。しかし、大会が盛り上がりを見せる一方で、高額なチケット、ダイナミック・プライシング、ビザ制限、予想を下回る外国人観光客の伸びなどをめぐって、議論が徐々に激しくなりつつある。
■ワールドカップのチケットはなぜどんどん高くなっているのか
過去の大会と今大会を比べてみると、最大の変化の一つは、ダイナミック・プライシングという仕組みを初めて大規模に導入した点だ。
いわゆるダイナミック・プライシングとは、チケット価格を固定せず、需要に応じてリアルタイムで変動させるものだ。需要が高まるほど価格も上がり、人気の試合では1日のうちに複数回価格が調整されることすらある。
英紙ガーディアンが関係者の話として伝えたところでは、国際サッカー連盟(FIFA)の米国事務所職員はダイナミック・プライシングの放棄を提案したが、最終的にFIFA上層部によって却下された。今大会は「一生に一度」のビジネスチャンスとみなされており、同上層部がチケット収入の最大化を望んだためだ。
米連邦議会議員もFIFAに書簡を送り、ダイナミック・プライシングの透明性の欠如を批判した。公開書簡によると、今年5月時点で、104試合のうち約90試合でチケット価格が上昇し、平均上昇率は34%を超えた。一部の試合では価格が倍増し、決勝戦のチケットは一時1万1000ドル(1ドルは約162.3円)近くに達した。
経済学の観点から見れば、ダイナミック・プライシングはチケット収益を押し上げたが、ワールドカップが持つ世界的な公共のスポーツの祭典としての「普遍的恩恵」という属性を弱めてしまった。多くのサッカーファンにとってみれば、ワールドカップは誰もが楽しめるサッカーの祭典ではなくなり、高所得層でなければ現地観戦が難しいイベントへと変わりつつある。
■盛況の大会が消費を牽引しない理由
ワールドカップ開催国にとって、本当に注視すべきはチケット収入だけではなく、大会が数ヶ月、さらには数年にわたる観光と消費の活性化をもたらすかどうかだ。従来の経験則では、大型国際大会の開催はホテル、飲食、交通、小売などのサービス消費を牽引するはずだった。しかし、今大会では注視すべき新たな現象が起きている。外国人観光客の伸びが予想を下回っているのだ。
1つには、チケットが高額で観戦費用が高くなった点が要因として挙げられる。もう1つ挙げられるのは、米国のビザ審査期間が長く、一部の国からの観光客に入国制限があるため、米国での観戦を望んでいた多くの海外ファンが渡航を断念した点だ。
言い換えれば、大会そのものの魅力は依然として大きいものの、高額なチケット、ビザ政策、国境を越えた移動のコストが、ワールドカップによる世界的な消費喚起効果を弱めているということだ。そのため、大型国際スポーツイベントの開催によって「消費と観光を促進する」という経済ロジックも、新たな課題に直面している。(編集NA)
「人民網日本語版」2026年7月8日
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