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南海一号 南宋時代四大文明の再現に期待(1)磁器文化の繁栄
発信時間: 2008-01-02 | チャイナネット

南海一号は12月21日ついに再び日の目を見た。この、世界で最も古く、船体も最大、保存状態も良い遠洋貿易船には6万~8万の文物などが眠っているとされる。それゆえ世間の人々の期待を一身に集めている。

これらの文物や船本体には、いったいどんな考古学上有益な情報がつまっているのだろうか。専門家が言うには、南海一号を引き揚げることにより、少なくとも南宋時代の文明上の四大現象が再現可能だということである。

 

宋代の磁器文化の繁栄

 

広東省文物考古研究所水下考古研究中心の魏峻副主任は次のように語る。

初調査により、南海一号に残っている文物としては磁器が最も多く、すでにとりだされた磁器の大部分は浙江省龍泉・福建省徳化・江西省景徳鎮など南宋時代有数の産地で作られたものであるという。30種を超えるこれらの磁器は独特のデザインを持ち、精緻で美しいつくりであり、ほとんど全てが無傷で残っている。国家一級・二級に指定されるはずのものも少なくない。

極めて異郷的な雰囲気を持つ磁器も大量に見つかった。たとえば、銀の碗に似ているもの、アラブ人が使う皿に似たようなものなど。広東省文化庁景李虎副庁長は、次のように語る。発見された磁器のうち比較的完全な状態を保っているものは、口の部分が、大きめでなければ小さめで、宋代に東南アジア・西アジアなどへ輸入されたものは大体このような特徴を持っていた。

史料によると、宋代は中国磁器が最も栄えた時代であり、定・鈞・官・哥・汝の五大窯元があらわれた。宋代磁器の輸出量は瞬く間に増加し、その範囲はアジア東部・南部・西部・アフリカ東海岸の大部分にまで及んだ。主な種類は景徳鎮の青白磁器・龍泉窯の青磁器・磁州窯の黒磁器(白地黒掻き落とし)、越窯の劃花器さらに広東や福建などの青磁器や青白磁器などである。

広東省“海上シルクロード”研究開発プロジェクト責任者、中山大学中文学部教授黄偉宗は次のように語る。

当時、国外で宋の磁器を使用するということは階級の高さを象徴しており、さらには人々の生活習慣にも影響を与えた。文献によると、東南アジアの国家の中には、中国の陶磁器が伝わる以前は植物の葉を食器代わりにしていたところもあったという。宋の磁器が伝わって以来、彼らはそれ以前の“両手ですくって食べる”習慣から、実用的かつ美しい磁器を皿として使うように変わったという。

専門家がいうところによると、南海一号からすでに引き揚げられた磁器は史料に記載されているもののほとんどを包括しているという。南海一号で見つかった磁器は、磁器の都として繁栄した宋王朝の縮図といえる。これらの磁器は宋王朝の磁器研究にとって非常に貴重な実物資料となるだろう。

 

「チャイナネット」2008年1月2日

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