「南海一号」はすでに引き上げられたとはいえ、沈没船を入れた箱をいかにして安全的に開き、いかにして考古学の基準に則って文物を整理するかということは、世界的な難問とされており、その難しさは引き上げ作業に匹敵する。
広東省文物考古研究所水面下考古研究センターの魏峻副主任は、「箱を開くには、まだ5-10年間を要するだろう」と予測したが、この予測はあまりにも楽観的過ぎると見る専門家も多くいる。
中国文化遺産研究院の詹長法研究員は、「沈没船は海底30メートルのところで800年間も横たわり、すでに周囲の環境とバランス状態を取っていた。引き上げられた後、この状態が破られ、照明、微生物、水環境の変化は、船体及び文物の浸食に繋がるだろう」と語っている。
沈没船を浸す水は、淡水を利用するか、それとも海水を利用するかもまた問題である。淡水にすると、船体の腐食を招いてしまうかもしれない。海水にすると、水中の微生物が船体を破壊してしまうおそれがある。中国の文物局の単霽翔局長は、「この問題を解決するには、絶え間ない調整が必要だ。すでにマニュアルができている」と語った。
中国科学院考古研究所の元所長の劉慶柱氏は「貴重な文物は再生不能な資源であり、発掘の方法に問題があると、「南海一号」本来の重大な価値が損なわれてしまう。特に航路図、作業日誌、文字記録などの書類は、「南海一号」の由来のナゾを解く鍵であり、思いがけない資料が提供されるかもしれない。ところが、こういった資料こそ、まさに最も保存しにくく、復元しにくいものである」と語った。
「チャイナネット」2007年12月25日 |