国内の科学研究機関20数カ所から集まった科学技術者のチームが、今月1日に広東省深セン市で、微生物1万種類のゲノム解析を行う「1万種微生物ゲノム計画」を共同でスタートすることを明らかにした。今後3年をめどに、対象微生物種の全ゲノム配列を明らかにし、これを中核としてゲノムレベルでの一連の探索や研究を進める予定だ。「科技日報」が4日伝えた。
微生物は地球上で最も種類が多く、最も分布が広く、人類と最も密接な関係をもつ種であり、工業バイオテクノロジーの中核をになうものであり、国際競争における戦略的資源でもある。今回の計画の研究分野は工業微生物、農業微生物、医学微生物などで、研究対象には古細菌、細菌、真菌、原生生物、藻類、ウィルスなどが含まれる。
計画では、中国の微生物ゲノム学の発展や系統的研究を推進して、微生物全ゲノムの「百科全書」を作成し、生物の多様性と系統の解明に向けて進行中のオンラインプロジェクト「生命の樹ウェブプロジェクト」における微生物の分岐図を完成させ、関連の学科や産業の発展をうながすのが狙いだとしている。
中国科学院(科学アカデミー)の楊煥明院士(深セン華大基因研究院理事長)によると、今回の計画は微生物科学の新たなスタートであり、ここから微生物の研究探索において全く新しい研究戦略が打ち出されたこと、中国の科学者がより高みを目指そうとする勇敢な精神を備えていることがうかがえるという。
同計画は民間の遺伝子研究所・深セン華大基因研究院をはじめ、華南理工大学、南京工業大学、中国農業科学院生物技術研究所が中心になって進められる。計画の実施に伴い、中国の発酵業、製薬業、食品加工業のグレードアップや世代交代が進み、新型バイオマス、エコロジーに配慮した製造、ワクチン生産、環境保護産業の発展が強力に推進され、「三農」(農民・農村・農業)問題が解決され、省エネ、汚染物資排出削減が実現して生物の安全が確保され、内需が喚起されて重要な支援が提供されるようになるものと予測される。(編集KS)
「人民網日本語版」2009年8月6日