中国商務部の主導で制作された「メイド・イン・チャイナのグローバル協力」をテーマとする30秒間のCMが11月23日から、CNNのアジア市場で放送されている。放送期間は6週間。「メイド・イン・チャイナのないところはない」としながらも、ジョキング用シューズは「米国の技術使用」、冷蔵庫は「欧州のデザイン」、音楽プレーヤーは「シリコンバレーのソフト使用」、フランスのモデルが着ている服は「フランスのデザイン」などと強調し、「メイド・イン・チャイナ」の製品が実に「グローバル協力の成果」であるということを大々的にアピールしている。
「メイド・イン・チャイナ」へのマイナス世論が世界で広まる中、このCMは「グローバル協力」を強調しており、「メイド・イン・チャイナ」のイメージが向上し、世界から認められることになり、中国経済の発展によりよい外部環境を作る上でプラスになるのではないかと、国内では賛成の声が多い。
ところが、CMであるかぎり、その効果を見る必要がある。そのため、今回の試みは大事な一歩を踏み出したとはいえ、まだ改善すべきところもあると、中国人民大学経済学院の鄭鳳田教授は指摘する。
中国製品のイメージの中心理念が出されていない。グローバル競争がますます激しくなる今、多くの国が製品における国家イメージをアピールしている。たとえば、米国は「イノベーション」、日本は「品質」、ドイツは「完璧」、イタリアは「吸引力」、フランスは「モダン」、スイスは「精密」をアピールしている。しかし、今回の中国のCMは、グローバル協力の「ウィン・ウィン」の理念を強調するあまりに、中国製品の「中心理念」をアピールできていない。
消費者の地域性を無視している。たとえば、このCMを日本で流す場合、日本との協力内容がないため、日本の消費者に共感されにくいかもしれない。そのため、やはり国や地域によって内容を変更するのが望ましいといえる。
中国の有名ブランドの力を生かすべき。「メイド・イン・チャイナ」が世界に認められるには、実力ある大手企業のサポートが必要である。たとえば、ハイアールやレノボなどのブランドを起用すれば、消費者により明確な情報を伝え、「メイド・イン・チャイナ」の全体的なイメージアップにつながるのではないだろうか。また、フランスのモデルが登場するシーンがあるが、これがフランスのCMなのか中国のCMなのか、混乱させる可能性もある。
ターゲットが間違っている。このCMは、主にCNNのアジア市場で流れる。ところが、いくらCNNが大手メディアとはいえ、アジア市場だけでは絶対に足りない。今後、米国市場まで拡大するのであれば、ターゲット層をよく考える必要がある。CNNはニュースチャンネルであり、ビジネスマンや政府関係者が確かによく見るが、消費者の主力としての主婦たちはあまり興味がないだろう。あいにく、「メイド・イン・チャイナ」を買うかどうかを決めるのは、主に主婦たちである。そのため、CNNで、特にそのアジア市場でCMを流すことは、最良の選択とは言えない。
CMのほか、政府のPRキャンペーンも必要である。各国政府や企業との交流を行い、展示会などのチャンスを生かしてバイヤーや消費者を引き付けると、より高い効果が得られるのではないか。
「チャイナネット」 2009年12月7日