2007年にバーバラ・モーガン氏が初めて国際宇宙ステーションからの授業を実施して以来、世界の約320万人の学生がこの教材をダウンロードし、共有している。また米国の約100万人の学生が、自ら参加するか「質問」の手段により、宇宙ステーションの実験に参加している。京華時報が伝えた。
宇宙飛行士は学生たちに、どのような興味深い授業を行ったのだろうか。「おもしろ宇宙科学実験」を執筆した沈羨雲氏と唐承革氏は、雑誌「航天員(宇宙飛行士)」に掲載した文章「宇宙の授業」の中で、その内容を次のように紹介している。
□物理
玩具は宇宙でどうなる?
中国人女性飛行士の王亜平氏は今回の宇宙飛行期間中、液体の表面張力に関する物理の授業を実施する予定だ。物理の授業は、国際宇宙ステーションの教室でも実施されたことがある。国際宇宙ステーション第6調査チームの宇宙飛行士は、一杯の水と直径数センチの鉄の輪を準備し、奇妙な現象を実演して見せた。
鉄の輪をコップの中に入れてから取り出すと、水は地球上のように鉄の輪の縁に沿って下に流れるのではなく、しっかりした水の薄膜となり鉄の輪に張り付いた。宇宙飛行士は力を込めて鉄の輪を振り、息を吹きかけ、さらに何かを書いてみたが、これを粉々にすることはできなかった。これが液体の表面張力だ。
NASAはこのほか、「玩具の物理学」に関する実験を複数回に渡り実施したことがある。宇宙飛行士にバネ仕掛けの玩具、円形の軌道上を走行するミニ四駆、ヨーヨーなどを持たせ、宇宙で遊ばせた結果、地上とは完全に異なる動きが見られた。これらの授業と実験により、表面張力、ニュートン力学などの無味乾燥な物理知識が、生き生きと示された。
□生物
動植物の成長に変化が
国際宇宙ステーションの実験棚の孵卵器には、学生が生物を学習するための小部屋が設置されている。学生は植物や動物をその中に入れ、宇宙の無重力環境での成長と発育を観察できる。
ある小学生は、無重力環境の植物の成長に対する影響を観察する実験を提案した。学生は植物や種子を選び、これを二組に分けた。一組は学校の教室で育て、もう一組は宇宙ステーションの小部屋で育てる。重力の環境が異なるだけで、植物の日光・水・栄養の供給といった条件が同じく設定された。小学生は地上と宇宙の植物の発芽率、成長の速度や大きさを比較することで、無重力の影響を知ることができる。
国際宇宙ステーションはまた、中学生向けの生物の授業を実施し、人体の健康に関連する蠕虫について研究した。学生は比較のため地上と宇宙に分けられた蠕虫の、成長過程と繁殖の状況を詳細に観察し、記録した。
□地理
宇宙から地球を撮影
学生の学習の興味を高めるため、米国は「中学生の地球の常識」という教育計画を実施し、10数カ国の約1000校の中学校から、8万人以上の学生が参加した。
その他の授業と異なり、学生は宇宙実験の考案者・総括者であるばかりではなく、同実験の真の主催者となった。宇宙飛行士の任務は、彼らの代わりに1台のデジカメを宇宙に持って行き、国際宇宙ステーション内のガラス窓に取り付けるだけだ。学生はインターネットを通じて、宇宙ステーションに設置されたこの特製のデジカメを操作し、宇宙の最良の角度から美しい地球表面を撮影し、さらにインターネットを通じ地上に伝送する。学生は自ら撮影した地球の海や山を見て、興奮冷めやらぬ様子だった。
同計画において、学生は宇宙から地球の汚染状況を撮影し、環境保護に関する認識を高めることも可能だ。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年6月15日