寄贈 海外に流失した宝を国に戻す
多くのコレクションを持つ華人コレクターで、中国の博物館に寄贈する人は少なくない。数年前、60年以上をイギリスで過ごしてきた華人の単声氏は、大きな箱29個分、322点の文物を中国へ空輸した。
「欧州時報」はかつて、1960年代から1990年代にかけての単声氏の収集物語を記事にしている。最近は新たな「宝」を探すことはしていない。いま彼が考えているのは、すでにある文物の帰る場所のことである。文物が盗まれないように、外出するたびに彼は家に電話を何度も掛けて確認する。子供たちは海外で成長し、欧米流の教育を受けている。これら文物に対し、美学的観点のみで評価し、背景にある歴史や物語は理解していない。単声氏は、文物が再び流失することを心配しているのだ。
2011年10月、「単声珍蔵文物館」が故郷の江蘇省泰州市で開館した。ここは単声氏の父親がかつて暮らした場所である。彼が一生をかけて集めた400点あまりの文物から322点を選別し、展示している。
「これらは元々祖国のものだ。海外に流失した宝を再び祖国に戻す。私の長年の願いだった」と単声氏は言う。彼の願いは、自分の行動が前例になることで、他の華僑に関心を持ってもらうことだ。「家で一人眺めるより、500万人の泰州市民と一緒に見たほうがいい」。
復旦大学文物博物館学部で常務副主任だった胡志祥氏は、文物の本来の主人として中国は、我々の関心と問いかけを発する義務と権利があると述べる。「文物を保有してもいいが、必ず保護してほしい」。海外に流出した中国文物の運命に対し、華人たちははっきりと声を上げるようになっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年6月5日