国産コアで30年の技術封鎖を打破
30年前には中国のスーパーコンピューターのユーザーは、謎の「ガラスの部屋」を持つことを強いられたという。米国人が中国に売ったスーパーコンピューターは、不透明のガラスによってしっかりと覆われ、中国の技術者は許可がなければ中に入れなかった。
こうした技術封鎖は中国を逆に鼓舞し、完全に国産化された「神威」シリーズのスーパーコンピューターが開発され、さらには国際ランキングの頂点へと中国を押し上げた。5センチ四方の小さなコア「神威26010」は「神威・太湖之光」の心臓となっただけでなく、中国が自主開発によって30年にわたる技術封鎖を打破した武器ともなった。25平方センチメートルのスペースに集結された260個の演算コアと数十億のトランジスタは、3テラフロップスを超える計算能力を持つ。それぞれのコアの計算能力は、2000年の世界ランキングトップのスーパーコンピューター3台に相当する。
楊広文主任は、「神威・太湖之光」の成功は、中国のスーパーコンピューターの開発能力が世界をリードする水準に達したことを示しているが、技術の蓄積やシステムの安定性などの面では先進国とまだ大きな差があると指摘する。
国家並列コンピューター工学技術研究センターの研究員によると、解決しなければならない技術的な問題はまだ多い。エネルギー消費を例に取れば、「神威・太湖之光」の1年の消費電力は15兆ワットに達し、これは清華大学3つ分の消費電力に相当する。現在の技術ではたとえエクサフロップスのマシンを実現できたとしても、その消費電力は恐ろしいものとなる。
さらにカギとなるのは、速度がいかに速かろうと、スーパーコンピューターの発展は使うためでなければならないということだ。これは依然として中国のスーパーコンピューター発展の弱みとなっている。
中国科学院コンピューター・ネットワーク情報センターの張鑑・研究員は、中国では、スーパーコンピューターシステムを利用した問題解決能力が長期にわたって不十分であり、関連する商業的なアプリケーションソフトウェアも海外によって独占されていると指摘する。今後は、ソフトウェアの研究やアプリケーションの開発、人才育成の面でさらなる向上をはかる必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年6月21日