火星の生命の存在に新たな証拠 NASA「キュリオシティ」がホウ素発見

火星の生命の存在に新たな証拠 NASA「キュリオシティ」がホウ素発見。

タグ:キュリオシティ NASA ホウ素

発信時間:2017-09-17 09:13:17 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 火星上にかつて生命が存在した可能性があることを示すカギとなる証拠を科学者が発見した。報道によると、NASAの火星探査車「キュリオシティ」(Curiosity)は火星火山の火口で、RNAの形成で重要な役割を果たす物質であるホウ酸塩を発見した。科学者これまで長期にわたって「RNAワールド」(RNA World)という仮説を立て、最初の生命は一本鎖RNAからなっていたと論じてきた。今回の重大な発見は、火星にかつて生命が存在した証拠の一つとなる可能性がある。ただ生命が存在したとしても、理論的には数十億年前に死滅している。

 

 「RNAワールド」という語は、ノーベル賞受賞者のウォルター・ギルバートが1986年に提出したもので、触媒作用を備え、自己複製できるRNAが最初期の生命を形成した分子となったと論じた。

 

 RNAには多様な機能があり、遺伝子のコード化や翻訳、調節、遺伝子発現などのプロセスで役割を発揮する。RNAとDNAの最も主要な区別は、RNAのリボースの2番めの炭素はヒドロキシ基(–OH)であり、DNAは水素原子(H)であるということにある。このヒドロキシ基は不安定なことで有名で、RNAを不安定化し、RNAをヌクレオチドに加水分解する。RNAリボースを安定させたいならば、ほかの元素で背後から支えてやる必要がある。この名もなき英雄こそがホウ素(boron)である。

 

 NASAの火星探査車「キュリオシティ」は2012年に火星に上陸し、火星の土壤サンプルや岩石コアの収集、サンプルの有機化合物や環境条件の分析を行っていた。「キュリオシティ」は今回、クレーター「ゲール」(Gale crater)をのぼる途中、新元素のホウ素を発見した。

 

 ホウ素は水中に溶解してホウ酸塩となる時にリボースと反応し、RNAの安定した生成を可能にする。ロスアラモス国立研究所のポスドク研究者のPatrick Gasda氏は、「RNAがなければ生命はない。ホウ酸塩は、単純な有機分子がRNAに進化するための架け橋の一つとなる」と指摘する。

 

 火星上のホウ素の存在は人類に2つのことを示している。第一に、古代の火星には、生命を生み育てることを可能とする条件があった。第二に、「キュリオシティ」は火口の硫酸カルシウム鉱脈(calcium sulfate mineral vein)でホウ素を発見した。これはホウ素が火星の地下水に存在したことを意味する。もしも有機物も存在したならば、生存に適した地下水の環境が満たされていたことになる。温度は0度から60度、pH値は中性からアルカリ性で、最も単純な生命化学反応を支えることができる。

 

 「キュリオシティ」は、古代の火星におけるますます多くの化学変化のディテールを明らかにしている。だが研究者は、ホウ素が検出されたとは言え、そのほかの確実な証拠は見つかっておらず、火星上に生物がいたかはまだ謎だと慎重な見方を示している。

 

 NASAの「マーズ2020」探査車は今後も、探査ミッションを継続し、火星のより多くの未知の問題の解決をはかる。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年9月17日


TwitterFacebookを加えれば、チャイナネットと交流することができます。
中国網アプリをダウンロード

日本人フルタイムスタッフ募集    中国人編集者募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで