水素・ヘリウム元素の追跡により、ガスが観測者に背を向けるようにして星系のコアゾーン、つまりブラックホールに流れることが分かった。また速度は0から5000キロ毎秒に加速した。これはガスがブラックホールの引力を受け、降着を加速したことを意味する。姜氏は「5000キロ毎秒は降着円盤外側のブラックホールの引力の自由落下速度に対応している。運動学的に直接、ガスが確かに降着円盤に達したことが証明される」と説明した。
同チームは水素・ヘリウム元素の吸収線を利用し、ブラックホールの降着と流出に対する研究を10年行い、一連の成果を手にした。彼らが調査した10万個以上の準恒星状天体のうち、8個にこの過程が確認できた。「このガス流入・流出が我々の視線にぴたりと向けられる可能性が非常に低いことから、宇宙がこの過程を我々の眼前に示してくれなければ確認できない。しかしこれはガスが降着円盤に流入することを確認したため、0から1への進展と言える」
姜氏は記者に「暗黒物質、暗黒エネルギー、ブラックホール、宇宙の起源、天体の起源、生命の起源は、最も重大な基礎的科学問題だ。ブラックホール関連研究の重大な進展が注目される重要な原因は、人類が常に自分たちの起源を探求しているからだ」と話した。
一般人とブラックホールの間には、どのような関係があるのだろうか。
姜氏によると、宇宙の変化と星系の変化から地球の変化に至るまで、生命の起源が切り離せない要素となっている。そこからは星系の変化が人類と宇宙をつなぐ架け橋であることが分かる。星の変化において、ブラックホールと星系の相互作用(ブラックホールの降着と流出を含む物質・エネルギーの交換など)は、極めて重要な部分だ。「我々が暮らす銀河系の中心にもブラックホールがある。これが活動すれば、私たちは生存できないはずだ」
ブラックホールがこれほど多くの人を魅了するのも無理はない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年10月20日