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japanese.china.org.cn |22. 09. 2020

中日比較から見た北京の文化産業

タグ: 北京文化

周牧之 東京経済大学教授


 編集ノート: “2020年中国国際サービス貿易交易会”の一環として2020年9月6日に行われた“2020北京文化産業発展大会”にて、周牧之東京経済大学教授は、“文化・スポーツ・娯楽輻射力から見た北京の文化産業の発展”をテーマに基調講演した。北京文化産業の発展を総括するとともに、直面する課題を分析し、発展アプローチを模索するヒントを示した。周牧之教授は、同基調講演を基に論文を寄稿した。


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 “2020北京文化産業発展大会”で講演する周牧之教授


 1.中国都市文化・スポーツ・娯楽輻射力2019  

 

 「中国都市総合発展指標」に基づき、雲河都市研究院は中国全297地級市(地区級市)以上の都市(日本の都道府県に相当する行政単位)のすべてをカバーする「中国都市文化・スポーツ・娯楽輻射力2019」を公表した。北京、上海、成都、広州、武漢、南京、杭州、西安、深圳、重慶が、同ランキングトップ10入りを果たした。北京は他に類がない優位性で首位に立った。


 長沙、天津、鄭州、蘇州、済南、瀋陽、ハルビン、合肥、青島、長春が第11位〜20位にランクインした。福州、寧波、昆明、無錫、南通、太原、石家庄、大連、南寧、南昌が第21位~30位だった。これらトップ30入りした都市のほとんどは、首都、直轄市、省都、計画単列市などの中心都市であった。トップ30で中心都市でない一般都市は僅か3つで、それらはすべて江蘇省の都市である。文化・スポーツ・娯楽産業(以下文化産業と略称)において中心都市の優位が一目瞭然となり、江蘇省の文化の厚みも際立った。


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「中国都市文化・スポーツ・娯楽輻射力2019」上位30都市


 「中国都市総合発展指標」は、雲河都市研究院と中国国家発展改革委員会発展戦略和計画司(局)が共同開発した都市評価指標である。2016年以来毎年、中国都市ランキングを内外に発表してきた。現在、中国語(『中国城市総合発展指標』人民出版社)、日本語(『中国都市ランキング』NTT出版)、英語版(『China Integrated City Index』Pace University Press)が書籍として出版されている。


 同指標の特色は、環境、社会、経済の3つの軸(大項目)で中国の都市発展を総合的に評価したことにある。大項目ごとに3つの中項目を置き、3つの中項目ごとに3つの小項目を置く3×3×3構造となっている。小項目ごとにさらに複数の指標が支えている。“文化・スポーツ・娯楽輻射力”は、こうした指標のひとつである。


 これらの指標は、785のデータによって構成されている。指標はまた、統計データのみならず、衛星リモートセンシングデータ、そしてインターネット・ビックデータから成る。


 輻射力とは広域影響力の評価指標であり、都市のある産業の製品やサービスの外部への移出・移入の力を測る指標である。輻射力が高いと、当該産業が外部へ製品やサービスを移出する能力を持つ。輻射力が弱い場合は、都市は当該産業の製品やサービスを外部から購入しなければならない。

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