文化>
japanese.china.org.cn |22. 09. 2020

中日比較から見た北京の文化産業

タグ: 北京文化


 さらに一人当たりの指標で比較すると、北京の一人当たりGDPは東京圏の50%であるにもかかわらず、一人当たり二酸化炭素排出量は東京圏の2.1倍にも達している。単位GDP当たりエネルギー消費量に至っては、北京は東京圏の7.4倍である。


 こうした比較から、産業構造、エネルギー構造、都市構造そして生活様式において北京は東京とはまだ大きな開きがあることが伺える。なかでも、北京の文化産業および観光産業は相互発展の局面には至っておらず、経済社会における比重のまだ低いことが、一つの要因である。その意味では、北京が世界レベルの文化観光都市へと転換することこそ、未来のあるべき姿だろう。


 北京の海外旅行客数は2019年、東京圏の14%に過ぎなかった。且つ、その統計には56万人の香港・マカオ・台湾省の華僑のデータも含まれている。2000年から2019年までの北京の海外旅行客数は282万人から377万人へと34%増加した。この間、東京都に限って言えば海外旅行客数は418万人から1,410万人へと膨れ上がり、237%もの増加を見せた。東京は千客万来の世界都市へと、華麗なる変身を果たした。


 海外旅行客が東京にもたらした巨大な利益は、インバウンドの消費だけではない。さまざまな理由で訪れた海外観光客は、IT産業のような交流経済に大きな刺激を与えている。東京が日本においてIT産業で圧倒的なパワーを誇るのは、こうした交流経済における利便性が大きな一因であろう。


 上記の分析から、海外旅行客の数にしろ増加率にしろ、北京は東京に比べ、なお大きな隔たりがあることが分かった。北京が如何にして世界にとってより魅力ある文化観光都市へと変貌を遂げていくのかが、大きな課題である。


 魅力ある国際都市になるには、世界に通用する理念とロジックおよび手法とで、自身の文化の特色を演出するべきである。


 例えば、“食”は、重要な交流の場でもある。世界的に見てもIT産業が発達した都市のほとんどは美食の街でもある。北京では数多くの中国の特色ある著名なレストランがある。しかし、国際的にトップ級のレストランの数は、東京圏の10%しかない。この点、東京都内では現在、ミシュランの星付きレストランが219軒にものぼり、世界で最もミシュランレストランが密集する都市となっている。しかも、これらレストランの65%は和食で、シェフの多くが海外で修行した経験を持つ。優秀なシェフはグローバルな経験をして和食と洋食のフュージョンを起こしたが、同化は起きていない。和食が現在、世界に歓迎されている要因の一つには、外で得た見識を持ちながら自身の文化的特色を引き出すシェフ達の存在がある。


 世界を理解する努力と、世界に自身を理解してもらう努力とを、同時に行っていかなければならない。これが、世界都市への道のりには、欠かせない認識である。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年9月22日





<  1  2  3  4  5