2.文化産業における北京の比類なき優位性
“中国都市文化・スポーツ・娯楽輻射力2019”は、「収益・フロー」、「劇場など資産」、「人材資源」の3つのカテゴリーから成る。
まず、「収益・フロー」から見ると、同輻射力トップ30都市の文化産業の営業収入合計は、全国の67.9%を占めている。つまり、297都市中上位10%の都市は、全国の文化産業営業収入の7割を稼いでいる。文化産業の上位都市への集約度は非常に高いことが伺える。なかでも首位の北京は、同営業収入における全国のシェアが24.8%にも達している。一つの都市が全国の文化産業営業収入の4分の1を占めたことは、北京の際立った優位性を示している。
「収益・フロー」を構成する一部データから、さらに深く見ていくと、映画館・劇場のチケット収入では、トップ30都市の合計が全国の54.5%に達し、北京が全国の5.7%を占めている。映画館・劇場の観客数では、トップ30都市の合計が全国の52%に達し、北京が全国の4.5%を占めている。博物館・美術館の来場者数では、トップ30都市の合計が全国の46%に達し、北京が全国の6.9%を占めている。
また、「劇場など資産」から見ると、同輻射力トップ30都市の文化産業資産総額の合計は、全国の72.3%を占めている。とくに北京は全国の26.4%と、4分の1超のシェアを誇っている。
「劇場など資産」を構成する一部データから、さらに深く見ていくと、映画館・劇場では、トップ30都市の合計が全国の34.9%に達し、北京が全国の2.7%を占めている。美術館では、トップ30都市の合計が全国の46.8%に達し、北京が全国の6.4%を占めている。博物館では、トップ30都市の合計が全国の38.6%に達し、北京が全国の3.4%を占めている。公共図書館蔵書量では、トップ30都市の合計が全国の53.7%に達し、北京が全国の6.6%を占めた。重要文化財に至っては、トップ30都市の合計が全国の84.2%に達し、北京が全国の46.6%をも占めている。
さらに、「人材資源」から見ると、同輻射力トップ30都市の文化産業従業者数の合計は、全国の53.3%を占めている。北京の全国に占めるシェアは12.8%であった。
なぜ北京は文化産業において全国12.8%の従業者数で、24.8%の営業利益を稼ぎ出すことが出来たのか?
その理由のひとつは、同産業における北京の強大な資産力にある。これは全国に占める北京の文化産業での資産総額と営業収入のシェアが同じで、ほぼ4分の1に達していることから伺える。
より重要なのは、文化産業におけるトップ級の人材が、北京に集中していることである。これは「人材資源」を構成する一部データから見て取れる。国家一級俳優では、トップ30都市の合計が全国の95.9%を総占めし、とくに北京が全国の63%を占めるに至った。国家一級美術師では、トップ30都市の合計が全国の75.1%に達し、北京が全国の37.2%を占めている。矛盾文学賞の受賞者では、トップ30都市の合計が全国の91.7%にも達し、北京が全国の47.9%と約半分を占めている。オリンピック金メダリストに至っては、トップ30都市の合計が全国の68.3%に達し、北京が全国の5.7%を占めた。
以上のデータから伺えるのは、北京がまさにスーパースターの煌めく大舞台となっていることである。これらスーパースターと、良質な資産力をもって、北京は中国最大のエンターテイメントメーカーと相成っている。