北京地壇病院で、新型コロナウイルス感染者が「コンパッショネート・ユース」として、中国が独自に研究開発した薬品「DXP-604」を投与された。体内のウイルス量が急減し、息切れや味覚・嗅覚減退などの症状が大きく好転した。一部の患者はすでに快復し退院している。
現場の臨床効果により、DXP-604は新型コロナウイルス特効薬の「ブラックホース」になりそうだ。その他の候補薬の多くは「ペア抗体」により新型コロナウイルスの逃避を予防するが、DXP-604は「単一抗体」により変異を阻止できる。これはさらに独特な点だ。
この薬品は北京大学の謝暁亮氏のチームと丹序生物が共同開発したものだ。科技日報は16日、研究開発チームの責任者、北京大学李兆基人文学苑客員教授の謝氏を独占取材した。謝氏は、「ペア抗体に代わる単一抗体の特徴により、その生産コストをその他の候補薬の3分の1以下に抑える。丹序はすでに国薬集団中国生物と共同開発意向を取りまとめている」と述べた。
DXP-604は中和抗体薬で、その原型となるのは人体の中に本来備わっている中和抗体だ。新型コロナウイルスとの戦いにおいて、感染者本人の免疫系が「戦える」優れた中和抗体を選ぶ。
北京大学のチームはわずか数カ月内に8000以上の候補抗体のスクリーニングを実施した。DXP-604はこうして選び出された。
これは治療時にDXP-604を0.6グラムしか、あるいはもっと少量しか使う必要がない理由でもある。謝氏は、「現在は実験中で、0.3グラムに減らせる見通しだ」と述べた。
スーパー抗体の認可の時期は?
謝氏は、「全スペクトルの、すべてのRBD突然変異に抵抗できる抗体を手にした。既存の変異株を中和でき、かつ今後生じうる変異を最大限に防げる」と述べた。
謝氏によると、DXP-604の臨床試験と認可の時期について、現在は国内で2期臨床試験中で、すでに国薬集団中国生物と接触し、海外2・3期臨床試験を進めているという。北京市はすでに「コンパッショネート・ユース」として、DXP-604を北京地壇病院の臨床治療に用いることを認めている。臨床試験と「コンパッショネート・ユース」に現在用いられている薬はいずれも薬明生物が生産したものだ。謝氏は、中国が独自に研究開発する新型コロナウイルス特効薬が一日も早く普及することを願うと述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年11月18日