国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の女性宇宙飛行士、メーガン・マッカーサーさんがこのほど「宇宙栽培」の唐辛子を食べた。
この唐辛子の栽培は今年7月にISSで始まり、このほど豊作を迎えた。マッカーサーさんは唐辛子を細かく切ってタコスを作り、SNSで写真と文章を投稿し「美味しい」とコメントした。
「科技日報」の記者は宇宙実験室「月宮1号」のチーフデザイナーで、北京航空航天大学の教授である劉紅氏を取材した。劉氏は次のように解説した。
唐辛子はビタミンCを豊富に含む。唐辛子、パプリカ、ピーマンなどはさっぱりした味わいだ。唐辛子は開花し、鑑賞性が高く、いい匂いがする。また唐辛子は宇宙環境での栽培に適している。唐辛子は苗が小さく、使うスペースが少なく、枝ぶりが真っ直ぐしている。株は微小重力でもしっかり支えられる形だ。さらに唐辛子は丈夫で生存しやすい。
当然ながら唐辛子以外にも、長期的な宇宙栽培に適した植物も少なくない。具体的には、月面・火星基地などの建設をめぐり展開される有人深宇宙探査活動は、人のカロリーの摂取を保証するため小麦や大豆などの食糧作物を栽培する必要がある。野菜は人の生理的・心理的な需要を満たすため多様にする。レタス、小白菜、チンゲンサイ、唐辛子、ナス、トマトなどがいいだろう。キュウリはつる性の植物で使うスペースが大きいが、さっぱりし口当たりが良い。栽培する場合はしっかり固定し、つるが船内に広がるのを防ぐ。果物ならばイチゴがいい。使うスペースが少なく、多くの実をつける。
今や宇宙栽培は特別なハイテクではなく、難易度もそれほど高くはなくなった。宇宙栽培は給水がやや面倒だが、その他の光、気温、空気、肥料については良い解決策がある。現在最も重要なのは、宇宙における植物成長の科学の法則を系統的に研究し、明らかにすることだ。小麦を例とすると、その宇宙栽培の生産量は地上とどう違うか。宇宙における光合成による酸素生成と二酸化炭素吸収にはどのような法則があるか。生成される物質の栄養成分は地上とどう違うか。これらは各国の科学者が切実に知りたがっている問題だ。
宇宙ステーション内の放射線は安全レベルで、宇宙植物も植物の成長条件を満たした上で栽培される。そのため果実の色、形、食感は地球上と比べ本質的な差がない。しかしナス科の野菜のビタミンCはより豊富になる。これは船内の放射線が地球上よりやや強く、植物により多くの抗酸化物質を合成するよう刺激するからだろう。実際には宇宙の微小重力環境と放射線環境は植物に影響を及ぼす。世界各国は現在も研究を続けている。
宇宙栽培の食物はサンプルを収集する必要がある。ピーマンを例とすると、その葉、根、もしくは株全体を冷凍し、地上に持ち帰り分析する。アメリカ航空宇宙局(NASA)はレタスを地球に持ち帰り、人体の健康に有害な微生物が含まれるかを検査したが、最終的に安全であると証明された。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年12月3日