このほど国際的な学術誌「Frontiers Ecology and Evolution」に、中国、スウェーデン、英国の科学者による最新の研究成果が掲載され、人類の中耳が魚のエラから進化したものであることが初めて明らかになった。新華社が伝えた。
この文章の筆頭著者で、中国科学院の研究員の蓋志琨氏は、「中耳は人類が敏感な聴覚を持つ秘訣だ。人類の中耳が魚類の噴気孔から進化したものであることが、胚及び化石の十分な証拠によって証明されている」と述べた。
しかし噴気孔がどこから来たのかという問題が、学術界を百年以上も悩ませ続けていた。最終的に、科学者は中国の化石に謎を解く手がかりを発見した。
雲南省曲靖で見つかった4億1000万年前の寛甲魚の化石。鰓糸の構造を留めている。(画像提供は中国科学院の蓋志琨研究員)
蓋氏は、「研究チームは20年近くにわたり、浙江省の長興、雲南省の曲靖で4億年以上前の曙魚と第1咽頭嚢から、鰓糸の痕跡を完全に留めている寛甲魚の化石を発見した。脊椎動物の噴気孔の起源が魚のエラであるという、確実な解剖及び化石の証拠を提供した」と述べた。
これらの化石はスイス・チューリッヒのSLSで非破壊スキャンを受けた。その後さらに3D再建ソフトにより、曙魚の頭蓋化石に対して3Dバーチャル復元が行われた。計7点の曙魚の頭蓋化石の3D再建が行われ、指の爪ほどの大きさしかない頭蓋内に、曙魚のすべての脳エリア、感覚器官、頭部神経、血管の通路がほぼ再現された。
浙江省長興で見つかった4億3800万年前の曙魚の頭蓋の化石。(画像提供は中国科学院の蓋志琨研究員)
蓋氏は、「最新の発見は、人類の耳と口腔がなぜつながっているのかを明らかにした。これをつなげたの4億年以上前の、魚類の噴気孔が口腔を通じエラに向かうための呼吸通路だ。これは古代魚類が人類に残した進化の痕跡で、現在は耳管と呼ばれている」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年6月7日