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康巴チベット族の民居

中国には東西に長江、黄河文化地帯、それに西部の山脈が横断する地区を流れる金沙江、雅礱江が織り成す峡谷地帯がある。多くの民族は地理的条件などから峡谷に沿って南北に往来、移動し、子孫をつくり、その土地に融和し、長い年月が流れていくなか、中国で唯一の南北を走る狭く長い文化地帯が形成されていった。この土地に今、人々の関心が集まっている。康巴(カンパ)地区にいるチベット族の人々が住むところはまさに、文化的色彩に溢れる峡谷の高原である。

カンパに来たなら当然、チベット族の民家に泊まるべきだろう。住まいは普通二、三階建てで、平面から見ると方形になっている。多くの家が山に寄り添うように建てられていて、石で壁を造り、木の杭を打っていないため、光沢があって整然とした感じがある。一つの列をなして数十世帯の家が並び、あたかも古代の砦を彷彿させて実に壮観だ。部屋の大きさや構造、配置は非常に合理的で、都市の高層アパートを思わせるが、どの家にも大きな庭があって、門も大きくがっしりとしている。

カンパ地区ではかつて部族、部落間の抗争が頻発していたので、民居のなかでは丸木を矩形にした梯子を使っていた。すぐに取り外して建物に侵入する道を遮断できるため、自衛や盗難防止の役に立った。現在は手すりのついた階段に変わり、ずっと便利になったという。

一階には庭に向けて開く窓があって、家畜小屋や飼料・車置き場として利用している。二階より上が住まいだ。寝室や居間、客室、台所、トイレのほか、神仏を祭るための「経堂」が別室にある。経堂は広く豪華で、壁一面を占めるほど大きな彩色画や彫刻の施された精巧な仏龕が設けられていた。また先祖伝来の「唐卡」(仏画などが描かれた紙)や法器、高僧が宿泊した後に残していった吉祥を表す品々が供えられ、ラマ僧専用に丹精込めて作られた禅床には、厚くて装飾の奇麗な毛布が敷かれている。経堂はチベット族一家にとって中心的な存在だ。来客があるとまず、必ずここに来て礼拝して線香をあげる。経堂では主人ですら横たわることはできない。女性ならば、たとえ遠来の客人であっても、ここで休むことは絶対に許されないという。こうした習慣を理解するのは難しいが、それでもカンパの女性たちは黙々とその決まりを守り通していて、恨み言ひとつ言うことはない。

寝室や居間の装飾はひときわ異彩を放っている。連なる梁や天井には彩色された絵や彫刻が施され、実に艶やかだ。金銀で縁取られたチベット式の箪笥にテーブル、扉、窓、宝石をちりばめた銅壺に法器、玉樽、金仏……。その鮮やかさに思わず目を奪われてしまう。現在、カンパでは富裕な世帯が徐々に増えていて、カラーテレビやテープレコーダー、電子ゲーム機などを持つ家も見られるようになった。遠方から冷蔵庫をわざわざ買って来た人もいるそうだが、最も暑い夏でも家でくつろぐときは薄手のセーターが必要なカンパでは、冷蔵庫は言えば“無用の長物”で、物入れの役割しかない。

三階はベランダになっていて、雑穀や穀物が置かれていた。見晴らしがよく、緑に囲まれた村、遠くに雪を頂いた山々や河を一望できる。ベランダに牛の首の形をした香炉があった。香草や柏の枝、葉を燃やして神仏を祭るのだという。どの家にも庭壁の上や屋根の四隅に白い石を置く習慣があるが、これは古人が白石を崇拝していたことを物語るものだ。カンパ地区の民家や寺、各地の石造りの家、仏塔の多くは巧匠が図も描かず、また糸も垂らすことなく施工したもので、数百年来にわたり風雨や地震にさらされながらも崩れ落ちないのはまさに奇跡だ。

 
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