陝西館のテーマは「人文長安の旅」。陝西省というと、兵馬俑や黄土高原のイメージが強いが、上海万博では盛唐の文化と秦嶺の自然の展示に重きを置き、「人文の陝西、山水の陝西」という新しいイメージを打ち出す。
長安の宮殿を再現
パビリオンは長安の宮殿をイメージ。どっしりと構える宮殿の両側には角楼が配置され、宮殿と角楼はアーチ型の橋によってつながる。宮殿の後方は、秦嶺山脈を背景に園林の風景が造られ、緑地や回廊が設けられて休憩スペースになる。
館内では、「千年の帝都」「千載の文華」「千里の秦嶺」「千人の英姿」の4つの展示内容のほか、合陽の操り人形、鳳翔の年画、華県の影絵芝居など、陝西省各地の民間芸術のライブパフォーマンスも行われる。
来館者を物語の中へ
陝西館はストーリー性を重視した展示になっており、来館者を物語の中へと誘う。玄宗皇帝と楊貴妃のロマンスの地として有名な「華清池」が再現され、「長恨歌」の世界がつくり出される。
「長恨歌」の物語は大型スクリーンやショーによって紡がれる。有名な一節「天に在りては願わくは比翼の鳥となり、地に在りては願わくは連理の枝とならん」など3つのシーンが上演され、「長恨歌」のファンならずともその世界に引き込まれてしまうことだろう。
玄宗と楊貴妃がお出迎え
陝西館の展示のメインは今からおよそ1300年前の唐朝の物語であるが、その展示方法は最先端の現代技術を駆使している。
約600平方メートルの展示エリアの正面で来館者を迎えるのは玄宗皇帝と楊貴妃のロボット。玄宗皇帝と楊貴妃は笑顔で来館者を迎え、来館者のために「長恨歌」を諳んじる。写真撮影も彼らの重要な仕事。撮った写真は携帯電話に直接送ることも可能だという。
このほか、館内には5.8×3メートルのLEDスクリーンも設置され、展示内容に関係する映像はこのスクリーン上に映し出される。スクリーンの前に設けられているステージでは唐代の音楽や踊りが上演され、スクリーンの映像と見事に呼応する。それが終了すると、西安の今と昔、そして未来の都市計画と人文景観が展示される。壮大な長安建築と宮殿が現代都市と融合し、「昔日の皇帝の住処、今日の人民の住処」という新しい陝西省の魅力が示される。
長安の輝きを再び
5千年にわたる重厚な都市文明の遺産を受け継いでいる「長安」は、都市文明を絶えず進化させる強大な内的動因を探し求めることを願いとしている。陝西館の展示理念はまさに、陝西文化の遺伝子の探求という基礎の上に立って、唐文化を進取の精神をもった文化のシンボルとし、意気揚々とした精神を世界にアピールすることだ。かつて、燦々と光り輝いていたこの精神は、今日においても、都市の調和のとれた発展・繁栄を促進するアクセルとなっている。
これは一種の天人合一の精神である。自然の法則を手本とし、自然の変化に順応して、自然と共存することが、都市文明を発展させる大きな精神的根源なのである。こうした精神の下、現代の「長安」は調和と包容の姿勢を受け継ぎ、優れた文化伝統を発揚すると同時に、西側諸国の先進的な都市経営理念や管理経験を学んで、かつての長安の輝きを取り戻さなければならない。
「チャイナネット」 2010年3月15日