■賛否両論真っ二つ 「今までで一番分かりやすい」
現在、中国版ツイッター「微薄」(ミニブログ)上では同映画を見た観客たちや中華圏の監督、俳優などのさまざまな感想・評論などにあふれ、大きな話題となっている。
香港コメディ映画のヒットメーカーのウォン・ジン(王晶)は今までずっとウォン・カーワァイに対して冷ややかな態度をとってきたが、この映画に対しては「25年間で初めて心から敬服した」と称賛。同じイップ・マンを題材にした映画「イップ・マン」の監督ウィルソン・イップも「面白いのひと言」と自身の微博に感想を漏らした。
一方、「前半部分はアクション映画の雰囲気満載だが、後半になると突然ラブストーリーになり、分裂気味」「アクションシーンはほとんどが顔や脚など局部ばかりで撮り方が良くない」など批判の声も少ない。
反応は大絶賛から失望まで両極端に分かれているが、難解と言われるウォン・カーウァイ作品においては「今までで一番わかりやすい作品の一つ」という評価が優勢を占めている。
以下はネット上のコメント。
<称賛>
「チャン・ツィイーの出演シーンは秀逸、イメージが一躍「女神」にまで急上昇した。今年の映画賞を独占するかも。いっそのことタイトルを「一代女宗師」と変えたほうがいいのでは?」
「すごく安心した。私が好きなウォン・カーウァイとトニー・レオンが帰ってきた!現在のひどい映画が氾濫する中国映画界にこんなに素晴らしい映画を見せてくれてありがとう。みんなに自信を持ってお薦めする。音楽もすごくいい」
「ウォン・カーウァイはやはり中国映画界を代表するトップ監督。あくまでも変革、イノベーションしようとする勇気と気力が素晴らしい。前半部分は非常にわかりやすいが、後半部分では伝統的な映画のリズムや構成に対して大胆な実験と挑戦を試みている。(中国の映画興業成績を塗り替える大ヒットなっている)「泰◆(Lost In Thailand)」(◆は国がまえに八の下に口の下線なし)が漫画だとしたら、「一代宗師」は水墨画だ」
「ウォン・カーウァイは全く新しいカンフー・アクション映画を撮り上げた。アクションシーンには独特のリズムがあり、緩急織り交ぜた映像は力強く、しなやかで、その美しさに陶酔させられる。ウォン・カーウァイの圧倒的なビジュアルセンスに敬服する」
「この映画を見たクライアントが、武術の見方が変わったといっていた。トニー・レオンの武術はブルース・リーの激しさやドニー・イェンの力強さとは違う美しさがある。ウォン・カーウァイ監督とトニー・レオンのコンビはウィルソン・イップ監督とドニー・イェンのコンビよりも中国カンフーをより理解しており、そのわずかな差が大変大きな違いとなって現れているという」
「この映画を好きでない人はウォン・カーウァイ監督の意図を理解していない。88年から今に至るまで、初めてウォン・カーウァイ監督に心から敬服した」