EUは1997年の『環境白書』において、「100のコミュニティで100%再生可能エネルギー」運動を掲げ、100の「炭素排出ゼロ地区」を構築した。このことから明らかなように、EUにおいてはコミュニティ推進戦略と再生可能エネルギー戦略とは並行して推進されているのである。これに対し日本においては、コミュニティが温水や暖房等の領域で太陽エネルギーや木質バイオマスエネルギーを使用すれば、どの年代(の国民)においても概ね一様に40~50%の炭素排出を削減することができ、年間で換算すれば1.5tの温室効果ガス排出が削減されることになる。もし全国で300万戸の家庭で再生可能エネルギーの使用が実施されれば、毎年450万tの削減が可能となる。したがって、政府の立場からすれば、都市開発の早期の段階から、低炭素型都市の開発主体の設定と、各利害関係者間の協議体制の構築に着手することが、一種の戦略的な推進方策であるということになる。
コミュニティを中心とした共同開発戦略
日本においては、現在のところ地方都市中心区域の再生可能エネルギー共同開発体制が未だ各省庁の政策決定考慮要素に入っていない。
英国においては、ロンドンがまさに「エネルギー有効利用型」都市の建設を積極的に推進している。この計画を推進しているのはロンドン開発庁(London Development Agency, LDA)である。彼らはエネルギー関連の団体や民間企業等の協力を得て地方自治体にを建議を提出し、それによって政府の補助金政策に対しても一定の方向性を与えている。
EU加盟国と比較すると、日本は地方自治体レベルにおいては、地球温暖化防止関連の計画の策定・実施・推進について未だ途上にあり、各部局間の協力等の方面において行政機能の欠缺現象がみられる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年10月9日