省エネ蛍光灯は省エネ効果が高いため、これまでの白熱灯に取って代わるもっとも相応しいものとされている。中国では、省エネ蛍光灯の普及戦略が長期にわたって進められ、上海市だけで、政府補助金の形で上海の一般家庭に2200万個超が導入された。ところが研究結果によると、現在市場に流通している省エネ蛍光灯の中に含まれる水銀は、環境汚染を引き起こす恐れがあるという。
1個の省エネ蛍光灯廃棄が水180トンを汚染
生産技術に限りがあるため、現在販売されている省エネ蛍光灯には水銀が多少含まれている。普通の省エネ蛍光灯に含まれる水銀は平均約0.5ミリグラム.だが、一部メーカーの製品は0.25ミリグラムまで減らされた。
「省エネ蛍光灯に含まれる水銀の量は極めて少ないが、使用量が膨大であるため、無視もできない」と、同济大学環境科学・工程学院の蒋大和教授は話す。「1ミリグラムの水銀が地下に流れた場合、約360トンの水が汚染される。このように計算すると、省エネ蛍光灯が適切に処理されなければ、1個当たり90トンから180トンの水と周辺の土壌を汚染することになる」と蒋大和教授。
水銀と水銀化合物は、皮膚を通じて人体に入るが、排出される速度は非常に遅く、肝・腎臓や中枢神経系、自律神経系の機能に大きな影響を及ぼす。
“水銀の沸点は低く、常温でも蒸発するため、水銀蒸気は気道を通って人体に入りやすい。廃棄された省エネ蛍光灯が割れると、大気中に含まれる水銀濃度は一瞬にして基準の百倍を超えてしまうという。
専門家によると、省エネ蛍光灯の回収システムは中国にまだない。普及率が加速している省エネ蛍光灯(数は億個を超えるという)が寿命を迎え、一般の生活ゴミとして処理されたら、生態と健康の「見えざる殺し屋」となるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年11月3日