「長江上流に住むもの、下流に住むもの。上流の下水は、下流の水道」中国の重要な水源である長江をよく表現している言葉だ。だが、データを見るとここ30年で長江の水質汚染の悪化傾向ははなはだ著しい。
流域の化学工業企業が水源を脅かす
もとより「黄金水源」と謳われて来た長江は、今、多くの汚染企業に囲まれてしまうようになった。沿岸にはおよそ40万以上の化学工業企業があり、このほかにも五大鉄鋼基地、七大石油精錬工場、石油化学基地などが分布している。2009年だけでも長江に流出した廃水放出量は221億トン、2005年の工業、生活廃水総量よりも多い。
長江はアジア最長の河川で全長6300キロ以上を擁する、古より中国を東西に横断し、数千の支流を持つ、南北の水上交通の大動脈である。昔から「黄金水道」と称されてきた。長江の水量は全国40%を占め、主流だけでも省級行政区11カ所を網羅し、沿岸の都市の重要な水源となっている。しかも、中国の南部の洪水と北部の干害を解消する南水北調計画は、北部の深刻な水不足を解決する重大な戦略的プロジェクトだ。これらはすべて「黄金水源」長江に与えられた使命である。
これまで30年間、長効の水質汚染の悪化が顕著になっている。長江流域水資源保護局の統計によれば、2007年、長江流域の廃水放出量はすでに300億トンを超え、毎年黄河1本分の汚水が流入している計算になる。
危険物質の輸送も汚染源に