中国政府が発表した報告書によると、気候変動は中国に壊滅的な結果をもたらす。海面上昇により沿岸部の都市が危機に瀕し、氷河と永久凍土の融解により三峡ダムやチベット鉄道などのインフラが脅かされる。シンガポール華字紙『聯合早報』が伝えた。
中国科学技術部は550人の専門家を集め、900ページに及ぶ「第三次気候変動国家評価報告書」を作成し、地球温暖化が中国にもたらす深刻な結果を詳細に列挙した。
海面上昇は、同報告書が最も注目した環境の脅威の一つだ。同報告書は、中国東部の海域の海面が今世紀末、20世紀の平均水準を40-60センチ上回り、上海などの都市および周辺地域で洪水が発生しやすくなると予想した。暴風雨や台風の危険性も高まる。
また中国内陸部の降水にも重大な変化が生じる。中国の逼迫している水資源が気候変動を理由に、今世紀中盤まで5%減少する可能性がある。変化を続ける降雨状況により、世界最大の三峡ダムは乾季に、頻繁に降水不足に陥る。雨季はより深刻な洪水に見舞われる。同報告書は、これは「ダムの管理、安全、洪水対策などにとって極めて不利だ」と指摘した。
チベットや西部の標高が高い地域では、氷河と永久凍土が後退する。同報告書によると、1970年代から今世紀前半まで、中国の氷河が10%減少した。永久凍土は2012年まで、約26%後退した。チベット高原を貫く鉄道は、地質が緩み不安定になる影響をすでに受けており、レールが変形する可能性もある。技術による緊急措置は、地球温暖化のペースに追いつけなくなっている。
気候変動は中国に環境・経済的なリスクをもたらすほか、国家安全の脅威となる。同報告書によると、温暖化により中国西部の氷河の融解が進み、河川の流量が減少する。これにより国を跨ぐ水資源の争奪、移住ブームが生じ、国際係争・衝突を引き起こすことになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年12月3日