チベット高原が気候変動によって氷河が融解する主因はブラックカーボンだ。その高原周辺での出所や構造を、このたび中国人研究者が解明した。
中国科学院の最新研究成果である。ブラックカーボンの排出規制政策に科学的な根拠を示すことになる。中国科学院永久凍土圏科学国家重点研究室の康世昌主任研究員によると、研究スタッフはブラックカーボンの「Carbon-14」を使い、ブラックカーボンの出自となる化石燃料と生物室燃料の割合を分析した。
その結果、煙霧体にせよ氷河・雪原にせよ、内部生物質燃焼で発生するブラックカーボンの排出は高原周辺から徐々に増加していることが分かった。専門家によると、チベット高原自体のブラックカーボン排出量は、他地域よりかなり少ない。高原では目立った工業活動はなく、住民の多くが農業や牧畜を営んでいる。加えて第三次産業を主とする産業構造であるため、エネルギー消費は比較的少ない。しかし東アジアと南アジアという最大のブラックカーボン排出地域に挟まれていることから、チベット高原の大気や河川はブラックカーボン排出の影響を受けている。
ブラックカーボンは化石燃料や生物質の燃焼から発生する。強い吸光性を持つことから、二酸化炭素に次ぐ地球温暖化の主因となっている。永久凍土圏の表面に付着すると、凍土や氷河の正面反照率が低下し、氷の融解を加速させる。そのため、ブラックカーボン研究は地球温暖化分野で注目される分野となっている。 ヒマラヤ山脈とチベット高原は世界の「第三の極」と呼ばれる。中低緯度の河川分布が最も集中する地域であり、アジアの大河の源流でもある。地球温暖化を考える上で最も重要な地域の1つである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年9月24日