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出る杭は豪華に祭られる パート3 |
発信時間: 2010-02-05 | チャイナネット |
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(前回からの続き) それでは、「中国の企業は、制度に従うのか?」 ぱっと考えても、むずかしいですね~。企業行動は、日本と同様の側面をもちますから、たとえインフラとしての基礎的制度がととのっていないと仮定しても(基礎的制度があとうとなかろうと)、サイズが相対的に小さい企業群は、おそらく、制度適応能力の欠如から、制度に従うことが出来ないだろうと思われます。面白いのが、大企業です。企業サイズが大きくなればなるほど、確かに、日本の大企業と同様の要因から、制度を遵守するような可能性もありますが、基礎的制度がととのっていないため、日本のそれよりも大企業に関する情報が不透明であって(情報が非対称です)、企業からすれば、「うわさ」を考慮しなくてもよいともいえますね。遵守する必要がなければ、遵守しないほうが経済的合理性にかなっていれば、当然企業は制度を守る動機はなくなります。また、「出るくいは打たれる」よりも、アメリカンドリーム的なもので、稼ぐこと、富を保有することは、決して悪徳ではなく、むしろ能力のすばらしい表現だという文化的背景もあるでしょう。 それでは、中間のサイズの企業はどうかというと、これはひょっとすると、制度的横ならびの状況や、業界内での「おとがめ」を恐れる可能性があります。大企業であれば、サイズは大きいのですが、同様に競合する企業数も少なく、「企業間の横並びのいじめ、おとがめ」や「顧客からの他企業との比較」という事態に接することがないでしょう。しかし、中間のサイズの企業は、競合する企業数も多く、こうした、「横並び」や「比較」という要因から免れない可能性が高くなります。 これをまとめれば、企業サイズが小さいと日本と同様に制度が遵守されない(できない)可能性が高いですが、企業サイズが大きいと、これもまた制度を遵守しない(する必要がない)可能性が高くなります。一方で、中間的なサイズの企業は「横並び(同型化)」と「比較(リファレンスグループ)」によって、制度遵守への動機が働くのではないかということがいえます。 (次回へ続く) (中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
「チャイナネット」 2010年2月5日 |
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