日系企業の先見性は(1)来年の市場動向に非常に慎重な態度を取っていること(2)車種の開発プランや販売の重点について、市場動向に対応した調整を行っていること――の2点に集約される。多くの日系企業の責任者は、来年の市場に対し慎重な態度をみせる。成長率が5%以上低下するとの見方を示す者もいる。こうした心理状態の下で、日系企業は「倹約して危機を乗り越える」ことを考えるようになり、運営コストを大幅に切りつめ、不必要な出費を削減するだけでなく、新車の開発リズムを遅らせるようになった。トヨタ系列のモーターショーで新車が一台も発表されなかったことがその一例だ。このほか、日系メーカーは新車の開発プランで省エネや小排気量に重心を移しつつあり、技術的にはハイブリッドを大きな方向性とし、宣伝では燃費の良さをポイントに据える。排気量1.6リットル前後のコンパクトカーが、日系メーカーの来年の発展における重点分野だ。
広州モーターショー後の中国市場では、日系メーカーが引き続き競争の中心になり、欧米系メーカーの、特にフォードとフォルクスワーゲン(VW)の発展ぶりも目立つ。日系メーカーは来年打ち出す新車が魅力的というだけでなく、各メーカーともに中国市場のニーズに合わせて徐々にモデルチェンジをはかってきたことが背景にある。トヨタの「RAV4」、ホンダの「CITY鋒範」、「欧州タイプ雅閣」(アコード)、日産の「奇駿」(エクストレイル)、マツダの「睿翼」、スズキの「奥拓」(アルト)など、日系メーカーの新車は個性と低排気量・省エネの性能とを兼ね備えている点に特徴がある。かつての大型車指向は次第に変わりつつある。
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