日本の民主党は政治体制改革を明確に打ち出している。官僚から権力を奪回し、政府に対する政治家の真のコントロールを実現することが、日本各界で熱い話題となっている。
日本の政体は「議院内閣制」だが、「官僚内閣制」と呼ぶ人もいる。いわゆる官僚とは、政府の上級公務員を指す。国家運営において官僚が要の役割を果たしており、与党代表で構成される内閣には効果的に権力を行使する術がないと見る日本の政治学者もいる。
日本の歴史において、かつて官僚は確かに重要な役割を果たした。このエリート集団は、戦後の高度経済成長の設計士とも讃えられた。1970年代以降、日本経済は低成長期に入り、富の配分上の矛盾が一層集中し、日本の政治学者のいう「腐敗トライアングル」という構図まで出現した。一部官僚は政治屋を利用して、自ら定めた政策を国会の法令に変えることで、権力を一層拡大した。政治屋も官僚を利用して自らの選挙区に富を配分することで、有権者の支持を得た。官僚は同時に、手中の権力を利用していくつかの企業を「餌付け」し、自らの退職後の「再就職」口を作った。
こうした「腐敗トライアングル」を目の当たりにし、また、官僚の作り出した複雑な人脈を打破するため、民主党は官僚からの「奪権」を決意した。最も重要な措置は、首相直属の国家戦略局の創設だ。今後は経済、外交分野の重要な政策決定は、いずれも国家戦略局が立案する。官僚らはそれらを執行する権力を持つだけだ。
民主党はさらに、「事務次官会議制度」を廃止し、閣僚が直接政策を協議することを計画している。これまでは閣議の前日の事務次官会議ですべての重要事項が決定されており、閣議は形式的なものに過ぎなかった。事務次官会議を廃止すれば、官僚の持つ決定権は大幅に削がれる。
このほか民主党は、官僚の勢力を抑制するため、国会議員100人を各省庁に送り込むことも計画している。現行制度では中央各省庁に約60潤オ70人の大臣、副大臣、政務官らがいるが、膨大な官僚集団には対抗する術はなかった。それが最もはっきりと現れているのが、国会答弁で、大臣の発言の多くが官僚があらかじめ用意したものだ。言い換えれば、彼らは官僚の「スポークスマン」に過ぎなかったのだ。各省庁にもっと多くの国会議員を送り込めば、一定程度、官僚の影響を弱めることができる。
官僚制度はすでに長く存在しており、民主党の改革が複雑な利権構造に触れることも間違いない。民主党が「奪権」を真に実現できるかどうか、権力運用システムがどのような影響を受けるか、現在準備中の改革にはなお多くの未知数がある。
「人民網日本語版」2009年9月8日