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ポスト金融危機時代、日本の対中投資に新チャンス
発信時間: 2009-11-25 | チャイナネット

様々なことが原因で、2006年以降、日本の対中国(製造業)直接投資は減少し、不安定な状態にある。2006年には29.6%減少し、2007年にはさらに22.0%減少、2008年にやっと1.7%のプラス成長に回復したが、金融危機の影響で2009年1-6月は前年同期比で6.1%減少した。

それと同時に、日本の対インド投資は対中投資を上回るようになった。日本財務省の統計データによると、2008年、日本の対中(全産業)投資は前年同期比3.2%減の6793億円で、対インド投資は4.2倍増の8090億円となった。ベトナム、マレーシア、タイなどへの投資も拡大している。

 

11月24日に北京で開かれた「第1回中日青年経済リーダー対話・中日企業家高峰フォーラム」で、中国社会科学院日本研究所の研究員、経済研究室の主任、全国日本経済学会の秘書長である張季風氏は、こうした日本の対中投資の低迷について、周期的な低迷、運輸・機械業界への多額投資の消化、地価・人件費・税金の上昇などといった中国国内の投資環境の変化、日本企業がリスク分散を考慮するようになったことなどを原因として挙げた。しかし、これからのポスト金融危機時代に、日本の対中投資には新たなチャンスが潜んでいるとし、次のように指摘した。

 

日本企業の対中投資は、これまでは製造業が主だったが、現在は小売業、金融業及びその他の分野への投資も増えている。これは、中国が「世界の工場」であるとともに、巨大な「世界市場」となる潜在力もあるということを示している。日本の対中投資には、「製造業と非製造業並存」の投資構造が形成されつつある。ポスト金融危機時代、日本の対中投資を制約する要素は中にはなくなったり、弱まったりするものもあるが、逆に、プラス要因も増えており、低迷する日本の対中投資は、新たなスタート地点に立つ可能性が高い。

一、 中国の経済構造の調整。中国の経済成長のモデルは、粗放型から集約型に変わり、持続可能な発展へと転向している。こうした方針の下で、外資に対する要求はますます厳しくなっている。特に沿海地域では外資の導入がより慎重となり、高汚染、高エネルギー消費のプロジェクトは沿海地域への参入が難しい。その一方で、外商による投資の質が向上し、それに伴い投資リスクが縮小、新たな投資分野が現れ、日本の対中投資にチャンスをもたらしている。

二、 世界経済の回復。中日両国の経済協力の範囲は実は中日両国だけに止まらず、中国が日本から部品を輸入して組み立て、そして欧米などの地域に輸出するという構造が出来上がっている。ポスト金融危機時代の世界経済の回復は、中日経済協力、日本の対中投資に新たなチャンスをもたらすだろう。

三、 「東アジア共同体」構想の提起。この構想の提起により、日本企業の対中投資を制約する政治面のマイナス要素は少なくなり、両国指導者は頻繁に会見し、良好な両国関係が日本の対中投資に良い外部環境をつくり出している。

四、 今後、日本の対中投資の分野と地域は拡大する見通し。機械電子、化学工業、家電、アパレル、金融、保険など、すでに投資が行われている分野の潜在力は大きい。また、1)自動車、特に省エネ自動車及びその関連産業、2)新エネルギーと再生可能エネルギーの開発と利用、3)高速鉄道、都市レール交通、4)原子力発電所などの環境保全に関する産業は、中長期にわたり対中投資の重点分野となるだろう。関連部門の予測によると、中国は今後、環境保全関連の技術や設備を大量に購入し、建築物の省エネだけでも2000億ドルの投資潜在力があるという。「第11期5ヵ年計画」期間中、環境分野への投資は1兆4000億元に達し、「第12期5ヵ年計画」(2011-2015年)期間中の同分野への投資は倍増する見込み。環境分野で高い技術や豊富な経験を積み重ねてきた日本にとって、同分野には大きな投資空間があると言える。また、日系企業は現在、中国の東部に集中しており、今後は沿海の企業を拠点に、資源が豊かで経済成長の潜在力が高い内陸地域へ移転するのもよいと思う。

 

張季風氏はまた、日本企業のインドや東南アジアへの移転について、次のように指摘した。

「中国の投資環境は若干変化したが、中国の投資魅力に変化はなく、投資回収率はさらに高まるに違いない。中国の社会インフラはインドやベトナムといった国々より整備され、中日の貿易関係はすでに長期的な試練(中日政治関係の冷え込みの時期も含む)を経験しており、市場化され、よい基盤が出来上がっている。日本企業の中国での投資経験は豊富で、これまでの円借款、エネルギーの低金利借款も中国のインフラ整備に貢献し、日本企業の中国市場進出の道を切り開いている。日本企業の対中投資はすでに650億ドルに達し、生産、流通の産業チェーンが出来上がっている。

現在、中国は潜在市場から現実市場へと転換しつつあり、最も利益を得やすい時期ではないだろうか。だが、日本は対中投資を減らし、インドなどの国へと回している。例えば、日本企業が中国で植林し、水をあげ、管理などの作業をすべて終え、実がなり、もう少し水や肥料をあげればさらに大きな実がたくさん収穫できるという矢先に、日本企業がちょっとした風や気温低下を理由に慌てて投資を縮小したり、撤退したりし、さらに遠いところにある荒山に行って、開墾し新たに木を植える。こうしたやり方は、得よりも損のほうが大きいかもしれない。13億人の人口を有する中国市場、ましてや中華経済圏市場は、インドやベトナムなどの国よりずっと成熟し、安定している。ニューデリー・ムンバイより、北京・ハルビンで工業回廊を建設したほうが遥かに現実的ではないか。環渤海経済圏の開発に参入すれば、リスクも小さく、利益獲得のチャンスもさらに多いのではないか。

 

「チャイナネット」 2009年11月25日

 

 

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