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第16回 トヨタ・リコール問題、日本製造業のイメージを大きく傷つけた
発信時間: 2010-02-26 | チャイナネット

 地位を奪回するには多くの試練がある

張教授は、今回のリコール事件がトヨタ自身や日本の自動車産業、ひいては日本の製造業に甚大な影響を与えることは間違いないと見ている。世界で評判が良かった日本最大手の自動車企業として、トヨタは日本企業の魂であり、自動車業界の最高レベルを代表し、日本国のイメージを代表するものであると消費者たちは深く信じて疑わなかった。

今回の事件で、技術や品質より問題となったのは、対応遅れや、過失を認めなかったことである。その影響は非常に深刻で、消費者にも強い衝撃を与えている。「業界を引っ張る企業でさえ、品質を信頼できず、態度も悪い…」と、人々は日本の自動車産業と製造業を疑い始め、日本自体の信用を失うというリスクに直面している。

「JAL」や「雪印」など多くの事例から、企業イメージを確立するには数十年から百年がかかるが、一旦崩壊し始めると、あっという間に崩れ落ちることが分かる。トヨタが消費者の不信感を解消し、信用を取り戻すまで、度重なる困難に阻まれることは確かだが、適切な態度をとることで実現できないこともないと張教授は考える。

各大手ライバルは現在、今回の事件を機に、米国市場でのシェア拡大に乗り出している。データによると、ホンダはすでにトヨタを抜き、米国市場でシェア首位に立っている。またGMやフォードなどの米企業も地位を奪回しようと矢継ぎ早に戦略を打ち出している。

トヨタは中国市場をそれほど重視しておらず、中国での戦略に積極性が欠けるため、中国市場の開拓においては著しい成果をあげていない。2009年、中国市場での販売台数が予想を上回る1360万台に達したため、2010年は中国市場を重視することを検討していたかもしれない。しかし、この肝心な時期に「リコール事件」が生じた。長期にわたって形成されてきた中国の消費者たちの信頼感はがた落ちし、中国市場をより拡張しようとするトヨタに深刻な影響を及ぼした。

こういった背景下で、トヨタが自身の過ちを改め、消費者の利益を第一に考え、世間の指摘を全面的に受け入れ、予想以上の謙虚な態度でこの事件に対応し、消費者の了承と感動を得ることができれば、近いうちに地位を奪回する可能性もある。しかし、適切な対応をとらず、米国市場で大きな痛手を受け、中国市場の開拓が難しくなり、日本市場にも認められなければ、結果がどうなるかは見当がつかない。

 

中日自動車産業の競争は時期尚早

今回の事件が中国の自動車産業にもたらす競争のチャンスについて、張教授は、「今、この問題を話すのは、時期尚早」と話す。

現在、中国の自動車産業は自主開発技術に乏しく、コア技術もほとんど多国籍企業に握られ、研究開発や革新能力もはるかに遅れているため、日本企業と競争し合うまでにはまだかなりの時間がかかると考えられる。「10年、或いはもっと後に、中国は環境に優しい自動車の分野で、日本と競争し合うことができるかもしれない」と張教授は予測する。

張教授によると、今回の事件で、「中国企業は消費者や品質を重視すべき」という最大の教訓がもたらされた。特にブランドの影響力や技術レベル、信用のいずれも弱い今、中国企業はこの教訓を踏まえ、トヨタの失敗を繰り返さないよう努めなければならない。

「チャイナネット」 2010年2月26日

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